ベトナムのBtoBマーケティング豆知識(2) ベトナムの展示会とSNS事情

 今回は、ベトナムに進出している日系BtoB企業の、現地でのマーケティング活動について、とくに展示会とデジタルマーケティングにフォーカスしてご紹介します。



マーケティング活動として欠かせない現地の展示会
 自社の商品やサービスを知ってもらうには、現地でおこなわれている展示会への出展が最適です。とくに、これからベトナムへの進出を考えている企業には、テストマーケティングの場として活用すると良いでしょう。現地に出向いて、競合他社と比較したり、潜在顧客と会話をしたりしながら、ポテンシャルを確信できたら本格的に進出を検討するという試験的な位置づけに適しています。

 また、進出して間もない企業の場合は、まず業界内での認知を獲得する必要があります。ベトナムのローカル企業だけでなく、韓国や台湾などのアジア資本も含めた外資系企業ともつながりをつくり、アピールするのに重要な場といえます。このように、展示会は商品の告知のみでなく、ネットワークづくりにも活用できるため、とても効率的で有効な活動です。

 なお、展示会への出展を検討する際には、日本貿易振興機構(JETRO)や日本商工会議所の情報をチェックしましょう。JETROや日本商工会議所は、日系企業のベトナムでのビジネスを後押しするために、現地の展示会に日系企業を集めたパビリオンを企画することがあります。そして、パビリオンへの集客や日系企業とのマッチングサービスのために、ホーチミン日本商工会議所(JCCH)やベトナム日本商工会議所(JCCI)、アメリカ、フランス、韓国、中国の国際機関が関わっているVietnam Business Forum(VBF)などと連携し、ベトナムのローカル企業にイベント告知をおこなっています。
 JCCIはVBFのゴールドスポンサーとして、各国が集まるビジネスミーティングに参加して情報収集をおこなっているため、鮮度が高く強いコネクションをもっています。

【参考】
日本貿易振興機構(JETRO) 世界の見本市・展示会情報:https://www.jetro.go.jp/j-messe/
ホーチミン日本商工会議所(JCCH):(https://jcchvn.org/jp/index.php
ベトナム日本商工会議所(JCCI):(http://jbav.vn/ja/
Vietnam Business Forum (VBF):(https://vbf.org.vn/)(英語)

 毎年、さまざまな展示会がベトナムで開かれており、なかには展示会場内でマッチングイベント(商談会)が開催されているものもあります。ぜひ、展示会情報を収集して、現地のビジネスとその可能性を確認してみてください。

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BtoBマーケティングにもFacebookは不可欠
 展示会への出展は自社PRやネットワークづくりに欠かせない重要なマーケティング施策の1つですが、展示会以外で自社商品をアピールするために活用されているのがFacebookです。

 ベトナムでは企業のマーケティング活動の一環として、Webサイト以外に、必ずといっていいほどFacebookページも開設しており、頻繁に記事を更新しています。これはBtoBでも同様です。ベトナム企業の公式Facebookページを見てみると、製造業であれば製品情報が掲載されており、会社情報、連絡先、会社のニュース情報も掲載されています。ベトナムのビジネスパーソンは、就業中も、ビジネス情報を収集する媒体としてFacebookを積極的に活用しています。

 発信者側の企業にとっても、FacebookはWebサイトよりも手軽に更新ができるうえに、リアルタイムで企業情報を広く伝えることができます。そのため、社内にFacebookページ運用のための専門チームが設けられていたり、Facebookページの運用代行会社にアウトソーシングしていたりする企業もあります。記事の更新を行うだけでなく、顧客からの問い合わせに随時応じることができるよう、組織や体制が組まれています。ベトナムでは、Facebookはビジネスにおいても非常に重要なチャネルとして存在感を示しています。

ビジネスの輪を広げるSNS
 企業が組織や体制を整える理由は、日本と比べて、Facebookページの投稿やFacebookページのショップ掲載商品への問い合わせが盛んだからです。閲覧者が、投稿へコメントしたり、メッセンジャーでダイレクトメッセージを送ってきたりすることは日常茶飯事です。
 そのほか、Facebookグループの活用も多くおこなわれています。特定のテーマやトピックに沿って作られたビジネス系のグループに参加し、展示会出展や新商品情報などの告知をすることが、当たり前のようにおこなわれています。
 このように、スマートフォンの急速な普及にともなって、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は、ベトナムのBtoBビジネスに浸透してきています。

 一方、デジタルメディアだけではなく、顧客とのコミュニケーションの手段として、電話もまだまだ重要な役割を果たしています。企業によっては、社内あるいは外部に委託する形でコールセンターを設置し、問い合わせ対応をしています。
また、自社の営業活動としても、電話でのアプローチは有効手段の1つです。デジタルを活用した情報発信がさかんになってきている一方で、電話での地道な営業活動もしっかりと行う必要があることは留意しておきましょう。

ビジネスの成功は現地パートナーシップにあり
 ここまで、展示会への出展やFacebookページの活用など、ベトナムのビジネス環境に応じて自社や自社商品をアピールすることが重要だとお伝えしました。

 ただし、現地の事情に詳しいコンサルタントによると「ベトナムにおいて、現地でのマーケティングや事業を成功に導くためには、信頼できるベトナム人パートナーをいかに探せるかということも留意したほうがよい」とのこと。信頼できるパートナーを見極める際には、言葉によるコミュニケーションだけではなく、日本の商慣習をある程度理解してくれているかどうかも大切です。契約に関する感覚が異なるため、現地の言葉を100%理解することができない私たち日本人の意図やビジネス慣習も理解しながら交渉を進めてくれるパートナーがいるだけで、ビジネスはぐっと進めやすくなります。



おわりに
 まだ、ベトナムにショールームを開設して、ローカル企業に自社商品やサービスをアピールしている日系企業は、あまりありません。あくまで製造工場として、生産・輸出の拠点に位置づけられていることが多いようです。しかし、今後も拡大が見込めるベトナムの内需をねらうには、地元の展示会情報を収集して出展する、Facebookページなどのデジタルメディアを活用してコンスタントに情報発信を続けることが、はじめの一歩となります。

 なお、ベトナムでは、マーケティングオートメーション(MA)を導入しているローカル企業は、まだ少ないようです。日系の大手企業や欧米企業が、本社との連携で利用していることがあるというのが現状です。ただし、グローバル展開しているHubspotやMarketoはベトナムへも進出してきており、今後はMAを活用したマーケティングも増えていくことでしょう。
 現地の激しく変化するビジネス環境に対して、情報感度を高めておくことが、ベトナムのみならず、海外事業においては重要なカギになるでしょう。
 

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