知っておきたい!インドネシアのスタートアップ事情 | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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知っておきたい!インドネシアのスタートアップ事情

【2020年5月28日】公開

近年スタートアップへの支援が重視され、ASEAN各国でもスタートアップに対して積極的な支援を行うケースが増えてきました。
そこで今回は、インドネシアのスタートアップ事情をご紹介します。

育成支援や規制にも触れますので、インドネシアに興味をお持ちの方は是非ご一読ください。
 

インドネシアスタートアップを取り巻く状況

インドネシアでは、安定した経済発展と中間層の拡大によってスマートフォンの利用者が増加しています。
そのためECや配車アプリ分野を中心にスタートアップが勃興しているのです。 
 

投資の増加

ASEAN全体でインドネシアが占める投資割合は2012年に10%だったのに対して、2016年には約20%にまで増加しています。 
投資分野ではEコマースが42%を占め、そのほかが31%、「分類型」と呼ばれる広告媒体が10%です。
分野別の投資金額に目を向けると、Eコマースが58%にものぼり、そのあとに交通の38%が続きます。
 

インドネシア政府の施策「Goデジタル戦略2020」 

インドネシア政府は、2015年に「Goデジタル戦略2020」を発表しました。
「デジタル系スタートアップの1,000社の創業支援」「800万社の中小企業のデジタル化」「100万人の農民、漁民のデジタル化」を目標に掲げています。
 

スタートアップの育成支援

注目したいのがスタートアップの育成支援です。
ジョコ大統領は、「EC市場規模を2015年の200億ドルから2020年までに1,300億ドルへ拡大する」としています。
2017年7月の大統領令の中には、スタートアップに対する支援策も盛り込まれています。

スタートアップ育成を積極的に行うことで、インドネシアの抱える貧富の格差や地域格差の是正、そして貧困や失業の削減等の社会的問題解決を目指しているのです。
 

注目したい「NextICorn (Next Indonesian Unicorns)」プログラム

「NextICorn (Next Indonesian Unicorns)」プログラムは、ユニコーン企業を育成するためのプログラムです。
情報通信省と民間関係機関が連携を行っており、世界の投資家たちがインドネシアのスタートアップの情報へアクセスすることができるようプラットフォームを構築します。
 

外務省の支援 

2019年には外務省が主催し、首都ジャカルタでスタートアップ企業支援の一環として、スタートアップ企業と国内外のベンチャーキャピタルの商談会が開催されました。
シンガポール政府系投資会社テマセク傘下であるバーテックス・ベンチャーズや、オランダや英国等に拠点を持ち活動をしているフィンチ・キャピタル等が参加しました。

投資を得るためには、投資家との出会いを創出することも重要なポイントのひとつです。
政府が主体となってこうした取り組みを行うことで、今後ますますインドネシアのスタートアップへの投資が増えていくことでしょう。
 

インドネシア政府の規制 

インドネシアには、内資を守るための多彩な規制があります。
外資系企業の最低投資金額を100億ルピアに定める「最低投資金規制」や、「業種毎の外資出資上限」があることにより、海外からの投資を行う際には法律の確認等多彩な対応が必要でした。

これらの規制が外資投資の足かせになるとして、インドネシア政府は2020年の2月12日に「雇用創出オムニバス法案」を国会に提出しました。
この法案は11分野の法改正を提案しており、中小企業に関する定義の変更や投資優遇リストの導入だけではなく、外国のスタートアップに対する就労許可の優遇等も含まれています。 

更に、投資活動の基本法である法律2007年第25号についても一部改正される見通しです。
現在のインドネシアでは、500を超える事業分野で内資との合弁義務を定めており、それをネガティブリストとして公開しています。
しかし、オムニバス法案ではネガティブリストに関する記載が削除され、詳細は大統領規定において定められるとしています。
プライオリティリスト(政府が投資優先する分野のリスト)を導入することで、ネガティブリストに変える予定です。
 

業種毎の外資出資上限(大統領規程2016年第44号)

ネガティブリスト形式のリストが公開されています。
例えば、電子システムを通した商取引を行う業種で、投資金額が1,000億ルピア未満の場合には、外資比率は最高49%です。
また、ベンチャーキャピタルの場合には、外資比率は最高85%迄と定められています。

2019年に、14分野については投資規制を解除し、外資に解放する方針を決めました。 
 

注目したい!インドネシアユニコーン企業

2020年時点で、ASEANで創出されたユニコーン企業の内、5社をインドネシアが占めています。
 

多彩なアプリでサービスを提供「Go-jek(ゴジェック)」

2010年に設立されたGo-jek(ゴジェック)は、アプリ上で20弱のサービスを提供している企業です。
元々はバイクタクシーのオンライン予約・歯医者サービスを行っていましたが、その後料理や荷物の宅配や電子決済などに手を広げています。
2018年には国内だけではなく、ベトナム屋台そしてシンガポールにフィリピンへの進出計画を発表しました。
 

スマートフォン決済サービス「OVO(オボ)」

2020年にインドネシアで5番目のユニコーン企業に成長したのが、スマートフォン決済サービス「OVO(オボ)」です。
ショッピングモールやレストランだけではなく、配車サービスやネット通販でも使えるようになったため、利用者数が一気に増えました。
 

おわりに

ご紹介したようにインドネシアでは、スタートアップ企業に対する支援を行っているだけではなく、海外からの投資を積極的に呼び込むための法改正が進められています。
法改正が行われることで、より投資がしやすく・投資を受けやすくなるだけではなく、外国のスタートアップの雇用もスムーズになることが予測されています。

2024年には首都がジャカルタからカリマンタン島に移転することが決まっているインドネシア。
東南アジアへの進出をお考えの方は是非、成長著しいインドネシアにご注目ください。


【参考記事】

JETRO「スタートアップエコシステム調査 ーインドネシア編ー 2018」

JETRO「スタートアップにおける社会課題解決の役割を重視(インドネシア)」

msn「【インドネシア】スタートアップ支援、外務省主催で商談会[経済]」(配信元:NNA ASIA)

NNA ASIA「政府、投資規制20分野のうち14分野を開放へ」

日本経済新聞「インドネシアのスマホ決済OVO、第5のユニコーンに」

   

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