知っておきたい!マレーシアのスタートアップ事情

【2020年5月29日】公開

ASEAN諸国の中では、「シンガポールの次に事業環境が良い」とされるマレーシア。
特にデジタル技術を使うスタートアップに嬉しい優遇制度があります。

そこで今回は、マレーシアのスタートアップ事情をご紹介します。
気になる優遇制度の内容や、日本のスタートアップのマレーシア進出等にも触ますので、是非ご一読ください。
 

マレーシア政府のスタートアップ支援

マレーシア政府のスタートアップ支援の施策をご紹介します。
 

■マルチメディア・スーパーコリドー(MSC)構想

「マルチメディア・スーパーコリドー(MSC)構想」は、マハティール首相が前回任期中(1981~2003年)に提唱しました。
2020年までにマレーシアが先進国入りすることを目標とし、情報通信技術(ICT)産業の集積地をつくるための構想です。

1996年にはMSCの推進機関として、「マルチメディア開発公社(MDEC)」を設立しました。
そして、シリコンバレーを目指し1998年にクアラルンプール郊外に「サイバージャヤ」を開きました。
2016年にMDECは「マレーシア・デジタル経済公社(MDEC)」へと改称し、マレーシアのエコシステムにおける中心的な役割を果たしています。

経済特区「サイバージャヤ」
サイバージャヤは、首都クアラルンプールから車で約20分の場所にあります。
海外のIT関連企業の誘致先としてつくられ、要件を満たすことで税制面を含むビジネス上の優遇措置を得ることができる経済特区です。
隣接している新行政首都「プトラジャヤ」と一緒に、国家プロジェクトとして開発が進められているエリアです。
 

■「MSCステータス」の優遇措置

「MSCステータス」は、MDECによって付与されます。
ハイテク関連のスタートアップに与えられている優遇措置のことです。
同ステータスを得ることができた企業は、法人税が10年間免税されます。
また、外資による100%出資が認められ、外国人向けの査証も発給される等の恩恵があります。

MSCステータスの取得条件変更
奨励事業(MSC Malaysia Promoted Activities)として、ビッグデータ分析、人工知能(AI)等の16の事業が特定されました。
MSCステータスを受けるためには、奨励事業のうち1つ以上を実践している必要があります。
そして、販売業や製造業、電気通信サービスの提供は対象外とされました。

新しいMSCステータス
新しいMSCステータスは、ティア1~3に分かれています。
ティア1と2は法人税が最長10年間免除になり、ティア3は法人税が5年間70%減税されます。
ティア1と2の違いは、「MDECの指定する施設に事業実施のための所在地がある」か、「その他のMSCステータス等を取得している商用ビル」かという違いのみです。
諸条件や恩典の内容は一緒です。

MSCステータスの取得条件
取得条件には2段階あります。
承認を受けてから24カ月以内が1段階目、承認を受けてから3年目以降から減免期間終了までが2段階目です。
2段階目の条件では、一定の金額以上の月額基本給の常勤雇用従業員(知識労働者)数だけではなく、マレーシア人知識労働者の比率が要求されます。

以前のMSCステータス(ティア1または2)には、「外国人知識労働者の雇用が無制限」という恩典がありましたが、実質的には規制されることになったので注意が必要です。
 

マレーシア・グローバル・イノベーション創造性センター(MaGIC

スタートアップ支援を専門としている政府機関である「マレーシア・グローバル・イノベーション創造性センター(MaGIC)」も、エコシステム上で大切な役割を果たしています。
MaGICは、サイバージャヤにインキュベーション施設を開いており、起業家は、同施設内で無料Wi-Fiや業務スペースを利用することができます。
更に、セミナーやマッチングイベントに参加することも可能です。
 

「外資に関する奨励」がある

マレーシアでは、「外資に関する奨励」があり、奨励業種である製造業や農業そしてICT事業などに対して、税制上の優遇措置が与えられています。
奨励業種である製造業や農業そしてICT事業などに対して、法人税免除や投資控除等の制上の優遇措置が与えられています。
また、2020年の予算発表で優遇税制のフレームワークの包括的な見直し及び刷新を行うことが伝えられました。
2021年1月1日までに、新しいフレームワークが準備される予定です。
 

注目したい「国家変革2050アジェンダ」とは

「国家変革2050アジェンダ」は、2050年までに、経済開発・社会的進歩・イノベーションにおいて、世界の上位20カ国入りすることを目指したプロジェクトです。

5つの重点領域の概略を示しており、それには情報通信技術が含まれています。
インターネット帯域幅や処理能力やデジタル保存能力の爆発的な拡大の継続だけではなく、ブロードバンドとモバイルの接続性や人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、そしてロボット工学の台頭を指摘しています。
そして将来的には、国内の建設や輸送及び都市資産の一部としてオートメーションとロボット工学を想定しているのです。

イノベーションと継続的な成長に対する本格的な取り組みを行っているマレーシア。
スタートアップ支援だけではなく、国家自体が大きな変革と成長を遂げていきます。
今後はよりスタートアップ企業が活躍しやすいフィールドが広がっていくことでしょう。
 

日本のスタートアップもマレーシアに進出している

実は日本のスタートアップもマレーシアに進出をしているのをご存知でしょうか。

東京大学発のフィンテック・ベンチャー「フィナテキスト」は、現地大手銀行のメイバンクが開催したコンテストで同社が入賞したことをきっかけに、2017年に「フィナテキスト・マレーシア」を設立しました。
スマートフォン用アプリ「あすかぶ!」の英語版をマレーシア国内で展開しています。
ユーザーは株価をゲーム感覚で予想することで、株しい売買に関する知識を取得することができます。
進出したのは2017年ですが、2018年3月の時点で、マレーシア国内ですでに130万回もダウンロードされている人気コンテンツです。

この様に、単にマレーシア国内のスタートアップ企業が増加しているだけではなく、国内外から多くのスタートアップがマレーシアの地で活動をしているのです。
 

おわりに

マレーシアのスタートアップ企業に対する支援や展望等をご紹介しました。
開発が進み、多彩な取り組みが行われるマレーシア。
皆さんも是非マレーシアに注目してみてください。

【参考記事】

JETRO「元起業家が絶賛するマレーシアのエコシステムと政府支援」

OurWorld「マレーシアの20年にわたるテクノロジー投資が大きな成果を生む」

JETRO「マレーシア 外資に関する奨励」

JETRO「MSCステータスの取得条件が変更、特定の事業内容に限定」


 

関連記事