タイ化粧品市場参入の障壁:FDA承認申請

前回は、タイの化粧品市場への参入障壁の1つ、「ディストリビューターとの関係」について、クリップティップ株式会社代表取締役の冨永知之さんにお伺いしました。

今回は、2つ目の障壁、「FDA承認申請」について、お聞きしてみたいと思います。

FDA承認申請とは
タイに化粧品を輸出したり、タイ国内で販売したりするには、食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)に登録して認可を得なくてはなりません。
この手続きはとても煩雑で、タイ化粧品市場参入の大きな障壁になっています。

FDA承認申請をするには
それでは、どのように手続きをすすめれば良いか、みてみましょう。

前回の「ディストリビューターとの関係」でご紹介したように、FDAに承認申請をおこなえるのは「輸入者」と定められています。
そして輸入者の条件の1つに、「タイに現地法人を有すること」というものがあります。
つまり、日本の会社が、タイに化粧品を輸出しようとする場合、タイに法人を設立するか、タイの現地法人と契約しなければならないのです。
そして多くの場合、この「輸入者」の役割は、「ディストリビューター」が担います。

新規参入時に法人を設立する手間とリスクを考えると、ディストリビューターと契約する方が合理的です。
しかし、彼らにFDA承認申請を委託するには、さまざまな書類を提供する必要があります。
中には企業秘密に属するものもあるので、ディストリビューターとの契約は慎重におこなわなければなりません。

FDA承認申請に必要なもの
それでは、FDA承認申請には、どのようなものが必要なのでしょうか。

申請の際には、最低限、以下の3つを揃えなければなりません。

•    全成分表(合計が100%になること)
•    分析証明書(Certificate of Analysis)
•    製造工場の会社名・工場名・住所、GMP認証

それでは、ポイントを確認していきましょう。

全成分表は、「どのような成分を、どのような目的のために、どのような割合で配合しているのか」を示すものです。
これは、合計が100%になるように厳密に記載しなければなりません。

しかし、「どのような成分を、どのような目的のために、どのような割合で配合しているのか」ということは、メーカーや工場のノウハウそのもの、最高レベルの企業秘密です。
これを、委託先のディストリビューターに、渡さなければならないのです。
よほど信頼のおける相手と契約しなければならないということが、お分かりになると思います。

なかには、NDA(秘密保持契約)を結ぶ前に要求してくることもあると聞きます。
しかし万一、そのディストリビューターとの関係がこじれたり、立ち消えになってしまうと、技術情報の漏洩という事態も起こりかねません。
十分に注意する必要があります。

もう1つのポイントは、「製造工場」の会社名・工場名・住所、GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造基準)認証という点です。

ここで「製造工場」と強調したのには、理由があります。
FDAへの申請の際には、製造工場の会社名を記載することになります。
従って、商品の製造を他社に委託している場合、ライセンスなどの書面に表記されるのは、委託先の名前になります。

そのため、FDAには、プロダクト名とブランド名の2種を登録し、ブランド名に自社名を入れることによって、メーカー名を認知させるようにします。

また、ODMなどで委託先のレシピで製造している場合、委託先から全成分表を提供してもらえないと、申請することができません。
ただ、これらの資料は、輸入者(ディストリビューター)を通じてFDAに提出するだけなので、関係者を通じて意図的に流出されない限り、一般に知れ渡ることはありません。


ここまで、FDA承認申請について、概要をご紹介してきました。

タイの化粧品市場に参入するには必須の手続きですが、申請してから承認がおりるまでの期間は読めないというのが実情です。
早ければ1週間、申請が重なってしまうと数ヶ月待たされることもあるようです。
通常は2ヵ月程度を目安にすることが多いようですが、ディストリビューター契約や書類の準備なども含めて、余裕をもって計画しておきましょう。


最終回の次回は、市場参入に際しての展示会活用法についてご紹介します。


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