タイ化粧品市場参入のための展示会活用法

これまで3回にわたって、タイの化粧品市場参入について、現地の情報やアドバイスを、クリップティップ株式会社代表取締役の冨永知之さんにお話をうかがってきました。

最終回の今回は、展示会の活用について、まとめてみましょう。

展示会は有効なマーケティング活動
海外市場に参入する際、テストマーケティングをおこなったり、輸入代理店や販路を開拓したりする目的で、その国の展示会に出展することは、有効なマーケティング活動です。

タイで開催されている化粧品の展示会のうち、主要なものとして次の2つをご紹介します。
● ASEANbeauty(5月)
● COSMEX(11月)

どちらも、バンコク インターナショナル トレード & エグジビション センター  (BITEC)で開催されており、多くの業界関係者が訪れています。

しかし、ここまでの3回で見てきたように、タイの化粧品市場には特殊な事情があります。
参入障壁の「ディストリビューター」と「FDA承認申請」は、展示会への出展にも影響してきます。

ディストリビューター契約とFDA承認申請
展示会に商品を出品するには、通関してタイに商品を持ち込まなければなりません。
通関をするためには、FDAのライセンスを提示する必要があります。
そのために、FDA承認申請をおこなうわけですが、これができるのは「輸入者」に限られます。
多くの場合、「輸入者」はディストリビューターが兼ねることになります。
そうなると、ディストリビューターとの契約を申請の前にしなければなりません。
では、どうやってディストリビューターを探すのか。展示会に出展して……

まるで鶏と卵の話のようですが、ディストリビューターとの契約を先にするのが現実的です。

たとえば、ハンドキャリーでサンプル商品をタイ国内に持ち込んだりするのは、完全に違法です。
仮に、サンプル商品を非合法に持ち込み、展示会場で来場者に配布したり使用させたりしたとします。
もし、FDAの査察を受けて、それが発覚した場合、その後、タイではビジネスができなくなってしまうでしょう。

ディストリビューターと契約、FDA承認申請という手順を踏んでいくべきです。

それでは、展示会でディストリビューターを探すことはできないのでしょうか。

日系ディストリビューターとのパートナーシップ
第2回でお伝えしたように、ディストリビューターとの契約は、慎重におこなわなければなりません。
とはいえ、つてがない中で、ローカルのディストリビューターを探すのは、なかなか骨が折れます。

そこで、日系のディストリビューターとパートナーシップを結ぶということも検討してみてはいかがでしょうか。

日系のディストリビューターであれば、商談も日本国内でできるでしょうし、言葉の問題もありません。
契約書も日本語で作成されるので、内容の精査にも支障がないでしょう。
そして、日系のディストリビューターと一緒に、タイの展示会に出展するのです。

ただし、日系のディストリビューターと、タイ・ローカルのディストリビューターとを比べると、圧倒的にタイ・ローカルのディストリビューターの方が、太い販路を持っています。
それは日系のディストリビューターも理解しています。
そうしたローカルのディストリビューターとのコネクションをつくるという展示会の出展目的も共有したうえで協力し合えるのが、真のパートナーシップであると思います。

小売店へのアピール
展示会に出展するもう1つの目的に、小売店に直接アピールすることがあります。

第1回目で、タイの小売店事情をお伝えしましたが、高いマージンや棚代の要求、新店舗への協賛費など、契約条件は新規参入メーカーにとって、厳しいものがあります。

もし、展示会で商品に興味をもってもらい、小売店側からアプローチしてもらえれば、有利な契約条件を引き出すことができるかもしれません。

FDAのライセンスは2種類ある
FDA承認申請については、前回でポイントをまとめましたが、実は、FDAのライセンスには、販売用のライセンスのほかに、展示会用のライセンスがあります。

しかし、展示会用のものには、いくつかの制限があるのです。
● サンプル配布してはならない
● 持ち込める数に制限がある(数個)

化粧品は、使ってもらわないと、評価してもらいにくいものです。
ですので、安易に「展示会用」を申請するのではなく、「販売用」のライセンスを取得して、出展することをお勧めします。


ここまで、展示会についてまとめてきました。

このほかにも、冨永さんからは、現場を知っている方ならではのアドバイスをいただきました。

たとえば、展示会に出展する際には、スーツ姿は避け、お揃いのポロシャツを用意するなど、カジュアルでオープンな雰囲気を醸し出すべきとのこと。

また、商品を説明するのに、日本でよくある「〇〇成分が入っているので」という表現は通用しないようです。
理屈ではなく、これを使うとどうなるかということを訴求する方が、受けが良いと教えてくださいました。


さて、いかがでしたでしょうか。

4回にわたって、冨永さんからお聞きしたお話を、ご紹介してきました。
スペシャリストならではの貴重な知見を惜しみなくお教えくださった冨永さんに感謝申し上げます。
皆さんがタイ化粧品市場参入を検討する際の参考にしていただければと思います。

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連載1 ざっくりわかるタイの化粧品市場
連載2 タイ化粧品市場参入の重要なパートナー:ディストリビューターとの関係づくり
連載3 タイ化粧品市場参入の障壁:FDA承認申請

 

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