世界屈指の観光立国、タイ

【2020年3月30日】公開
 

「中所得国の罠」の回避を目指して

タイという国は、たくさんの工場団地が整備され、日系企業のみならず世界各国の企業の生産拠点としてよく知られています。
しかし、タイの経済を支えているもう一つの産業として観光産業があるのをご存知でしょうか。
タイに来たことのある方であれば、想像以上に観光客でごった返している記憶があるのではないでしょうか?
実は、タイは古くから国家戦略として観光産業に力を注いできたそうなのです。
豊富な観光資源を活用して観光客を誘致すべく、タイ政府は1960年には政府観光庁を発足し、政府主導で観光立国を推進してきたそうで、観光庁事務所として、タイ国内に45ヵ所、タイ国外には29ヵ所もあるのです。
またタイ政府は、2002年に観光・スポーツ省を発足させて、国を挙げての観光促進活動も展開しています。
事実、訪タイ観光客数は2014年以降、堅調に増加しており、今や世界でも屈指の観光立国となっています。
そこで今回は、タイの観光産業についてご紹介をしてみたいと思います。
 

世界の中でのタイ

タイがどれくらいの観光立国なのかを見てみたいと思います。
まず、2016年から2018年の3年間の各国の観光客数ならびに観光収入についての実績を比べた表を見てください。
タイの観光客数は2016年の3260万人から2018年の3830万人となっていて、570万人も増加しています。
しかも、2016年から3年連続でトップ10にランクインしています。
また、観光収入でも、2016年の488億米ドルから2018年の630億米ドルとなっていて、142億米ドルも増加しています。2011年から7年連続でトップ10にランクインしていて、これだけでも、すでにタイが世界を代表する観光立国としてのポジションを確立できていることが分かりますね。
ちなみに日本も近年の観光立国に向けた戦略が功を奏して、タイにはまだ及ばないものの、なかなかな健闘ぶりを見せているのではないでしょうか。


※Bank of Ayudhya PCL. 調査資料

東南アジアの中ではどうなのだろう?

2018年の東南アジア、とくにASEAN各国の観光客数と観光収入を比較した表と、2014年から2018年までの各国の観光客推移をグラフ化したものがあります。
これを見てみると、ASEAN各国での観光産業は堅調に伸びていて、2018年のASEAN全体での観光客数は1億2870万人で、観光収入は1,423億米ドルとなっています。
中でも、タイの観光客数 (3830万人)と観光収入(630億米ドル)は、ASEANの中でも群を抜いており、観光客数だけでみるとASEAN全体の30%前後のシェアを持っていることが分かります。
観光収入の対GDP比でも、タイは12.5%を占めており、カンボジアの18.0%に次ぐ高さです。
ここからもタイがASEANの観光産業を牽引していることが見て取れますね。
ちなみに日本の観光客数もタイと同様に急激な右肩上がりとなっていますが、GDP比で見てみると0.8%に留まっており、まだ観光立国への途上であるといえるかもしれません。


※Bank of Ayudhya PCL. 調査資料


※Bank of Ayudhya PCL. 調査資料
 

どこの国・地域の観光客がタイに来ているのか?

2019年にタイに訪れた外国人観光客数の国・地域別の表と上位5カ国の2015年~2019年の推移を表したグラフがありました。
それによりますと、2019年も中国からの観光客が約1100万人と昨年に引き続きトップで、この5年間で実に39%も増加しているそうです。
中国は、米中貿易摩擦の影響、バーツ高人民元安、中国経済の減速にもかかわらず、中国人観光客数は依然として増加傾向にあるようで、タイは香港に次いで人気の観光地のようです。
日本を上回るタイ人気はどのあたりにあるのでしょう?観光立国を目指す日本にとってのヒントがありそうな気がしますね。
2位はマレーシアの約400万人、インドは約200万人と急激な増加率傾向が続いており、とうとう韓国を抜いて3位に躍進してきました。
日本人観光客数は6位ですが、前年の増加率では9.1%となっていてインドに次ぐ増加率とも言えるのではないでしょうか?
たしかに日本は空前のタイ人気だそうで、バンコクでも、たくさんの日本人観光客に出会うことができますね。


※Bank of Ayudhya PCL. 調査資料


※Bank of Ayudhya PCL. 調査資料

まとめ

この記事を書いたのは、2020年3月24日です。
今、世界はCOVIT-19の影響で大変なことになっています。タイもその例外ではありません。
タイにとって観光産業は基幹産業の一つであり、豊富な観光資源を活かし、堅調に観光客数、観光収入を増加させてきました。
2019年はバーツ高などの懸念要因があったものの、中国人観光客の増加に支えられて、タイへの観光客数は大きく増加しています。
2020年以降も増加率の高いインド、日本などの国々からの外国人観光客数増加が見込め、タイの観光産業は引き続き成長する可能性がありました。
しかしながら、2020年初めに中国で発生したCOVIT-19に影響で中国人観光客の大幅減少、中国人観光客がタイの観光客数で占める割合が大きいが故に、タイの観光産業にとって大きな打撃となる見通しのようです。
現時点ではCOVIT-19が収束する見込みがたっていないので、2020年のタイの観光産業に与えるマイナス影響は予測が困難な状況でもあります。
しかし、これによってタイの持つ観光資源が失われるわけではないので、長期的に見れば成長産業として期待が持てるのではないでしょうか。

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