JETROアドバイザーが語る!ベトナム製造業(自動車関連)におけるビジネス攻略の秘訣
地場のネットワークにいかに入り込むかが成功のカギ

【2020年1月30日】公開

数年後には車社会への移行が見込まれるベトナム。
国産車メーカーの台頭や政府の後押しもあり、ベトナムの自動車産業は、今後ますます発展していくと期待されています。
では、ベトナムで製造業を営むには、どのような点に留意してビジネスを進めていけばよいのでしょうか。
前回に続き、ベトナムの自動車産業に詳しいJETROアドバイザーの方に、具体的なノウハウをお伺いしました。


 

現地企業との関係性が重要

近年、世界に広まりつつある自国第一主義。
ベトナムも、その影響を少なからず受けており、自国の利益を優先させる傾向が強くなっています。
ですので、ベトナムでビジネスを行うときには、それを踏まえて、ベトナム企業とうまく渡り合う必要があります。

たとえば公共事業では、請負企業は入札で決まります。
しかし、外資系を含む複数の企業が入札した場合、最終的にはベトナムの企業が落札するというケースが散見されます。

また、外資系企業がベトナムに工場などを建てる場合には、許認可が必要です。
その際に、工事に関わるのが外資系企業のみという体制は避けた方が良いとのこと。
現地企業との合弁会社をつくったり、建設資材を現地企業から仕入れたりするなど、ベトナム企業を積極的に巻き込んでいくようにすると、許認可申請がしやすくなるようです。
 

工業団地の建設が安全弁に

工場の立地にも留意が必要です。
日系企業や台湾、中国、韓国、シンガポールなどのアジア系企業は、ベトナムに工業団地をつくるケースが多くみられます。
野村不動産や住友商事なども、直系の工業団地を持っています。
その工業団地に、自動車のサプライチェーンを構成する企業を集めるわけです。
こうして、現地の自動車産業にアプローチしていくといった工夫がなされています。

もちろん、大規模な工業団地で工場をつくるには、コストがかかります。
しかし、単独での進出にはリスクが伴います。
工業団地でない民間地に工場を建設しても、政府からの横やりで事業が立ち行かなくなる場合もあるのです。
実際に、単独で工場を建設したものの、「軍事施設をつくるから」という理由で土地を没収されてしまったというケースもあります。
工業団地をつくり、そこに複数企業が進出することで、こうしたリスクを避けることができます。
 

レンタル工場を使えば、コストを抑えた進出が可能

大がかりな設備投資が難しい場合は、レンタル工場を活用するという手もあります。
ベトナム企業の軒先を借りて事業を始めるという方法で、リスクを減らして事業をスタートできるという大きなメリットがあります。

また、通常は、まず現地法人を設立する必要がありますが、特別なライセンスを受けることで、現地法人なしで操業している工場もあります。
入居するレンタル工場から生産委託を受けるというライセンスを取得することで、日本法人のままで事業を開始できるのです。

いったん、このようにスモールスタートでリスクをおさえつつ、見通しが立ってから現地法人をつくったり、自社工場を建てたりといった方法で、ステップを踏んで進出することもできるのです。
なかにはバックオフィス系の業務まで請け負ってくれるレンタル工場もあります。
貿易業務や従業員の採用、場合によっては設備の調達などもしてくれます。
初めての海外進出で勝手がわからないときや、最小限の人員で事業を始めたいときなどにも利用価値がありそうです。
 

販路開拓は綿密な情報収集と人脈づくりが成功のカギ

では、生産したものを売る販路はどのように探せばいいのでしょうか。
まずはJETROの事務所や現地の商工会議所(ハノイとホーチミンに1ヵ所ずつ日本の商工会議所があります)などに足を運ぶことで、さまざまな情報を得ることができます。
また、現地にある邦銀の日本支店なども、ビジネス展開に役立つ情報をもっています。

さらに、ベトナムでは、政府とつながりのある人物との人脈を築いておくことも重要です。
たとえば、輸出入の業務では通関でつまずく企業も多くあります。
このとき、管轄部署の役人とコネクションが有利に働くといいます。

製造業では、日本の経済産業省に相当する省庁とのつながりをもっておくことも、大きな強みになります。
ベトナムではビジネスにおいても、こうした付き合いが大切だということに留意しておくといいでしょう。
 

ホーチミンでは人民委員会がバックアップ

政治の中枢はハノイですが、ホーチミンには人民委員会という組織があり、そこがホーチミン中央行政のトップとなっています。
ですから、人民委員会とのつながりをもっておくと、販売先の企業を紹介してもらえたりして、販路開拓の際も有利になります。

そもそも官僚的な雰囲気の強いハノイに比べ、ホーチミンは政治面でもビジネス面でもかなりフランクで、この人民委員会が企業の集団マッチングの場を設けることなどもあります。
日系企業数十社とベトナムの現地企業数十社が集まって、それぞれが売りたいもの、買いたいものをアピールし、マッチングを行うわけです。
人民委員会とのつながりをもっておけば、こうした機会にも声をかけてもらえます。

その他、基本ではありますが、大使館や領事館などもベトナムに進出する日系企業にとってはよりどころとなります。
領事レベルの人とつながりをもっておくことで、さまざまなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

このように、ベトナムのビジネスでは人脈が事業を成功へと導く重要な要因であるともいえるでしょう。
そのため、コネクションをつくるキーパーソンが現地に腰を据えて、じっくりと関係性を築いていくことが何よりも大切なのです。
 

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