【ベトナム】東南アジアでNo.3!スタートアップ企業増加の背景とは

【2020年5月26日】公開

「2025年までのスタートアップ・エコシスシステム支援プロジェクト」が首相決定され、2020年には100万社を目標に掲げているベトナム。
今回はベトナムのスタートアップ企業増加の背景をご紹介します。
 

東南アジアの中でもベトナムのスタートアップ企業数が伸び続けている

オーストラリア貿易投資促進庁(オーストレード)「ベトナムにおけるスタートアップ・エコシステム」のレポートによると、ベトナムは東南アジアの中でも3位のスタートアップ企業数を誇ります。 

スタートアップ企業とは、単に新しく設立されただけではなく「典型的にはテクノロジー志向を持っており、高成長する潜在力を有するもの」をさすとアメリカ中小企業庁は定義しています。

近年アジアでのスタートアップの中心地は中国とインドでした。
しかし、2010年以降、東南アジアでもスタートアップ企業が増えてきており、中でもシンガポール、マレーシア、インドネシアそしてベトナムが注目を集めています。 
 

ベトナムのスタートアップ企業数の推移

ベトナム政府は、2016年には約40万社だった企業数を、「2020年までに100万社に引き上げる」ことを目標に掲げています。
その結果2016年から2018年の3年間で新規企業数は10万社を超え、2018年末の時点で、ベトナム全土の企業数は71万4,755社にものぼります。 

2020年には約400社だったスタートアップ企業は、2015年には約1,800社、2017年には約3,000社にまで増加しました。 
ベトナム政府の取り組みは着実に実を結んでいると言えます。

・注意したいポイント
ここで注意したいのが、ベトナム政府は「新規企業数の増加」を目標にしている点です。
つまり、政府の統計には新規に起業した会社が全て含まれます。
資料や記事によって定義が異なりますので注意しましょう。
 

ベトナム政府のスタートアップに対する支援策

ベトナム政府は2013年に「ベトナム・シリコンバレープロジェクト」を立ちあげ、比較的早い時期から積極的な取り組みを行ってきました。 
 

2025年までのスタートアップ・エコシステム支援プロジェクト 

2016年に「2025年までのスタートアップ・エコシスシステム支援プロジェクト」が首相決定されました。
スタートアップのエコシステムを支援するために法整備を行い、ポータルサイトの立ち上げをし、スタートアップ・プロジェクトとスタートアップ企業に対して約1兆ドン(約4,400万米$)もの資金援助を行います。
 

ベトナム最大のスタートアップ・イベント「テックフェスト・ベトナム2019」 

ベトナム科学技術省(MOST)主催の「テックフェスト・ベトナム2019」は、2015年から毎年開催されているスタートアップ・イベントで、国内最大の規模を誇ります。
2019は5回目の開催となり、約200社が参加しました。
外国勢の参加も見られたものの、残念ながら日本企業の参加はありませんでした。
 

10年以内に自国ユニコーン企業を10社育成 

ベトナムでは、政府主導による産業強化策が推進されています。
そして、「10年以内に自国ユニコーン企業を10社育成する」ことを目標に掲げています。
これを実現するためには、政府のバックアップは勿論ですが、スタートアップ企業への投資も重要なポイントになります。
 

スタートアップ企業への投資額も急増中

ベトナムでは、スタートアップ企業が増えると共に、スタートアップ企業への投資も急増しています。
 

ベトナムのスタートアップ企業への支援額の推移

Topica Founder Instituteのレポートによると、2018年にベトナムでスタートアップに対する投資金額がなんと8億8,900万ドル(約954億円)に達し、92案件もありました。
これは2017年の2億9,100万ドル(約312億円)、92案件と比較すると金額ベースで約3倍です。 

2018年に投資された金額の内約6割を、ベトナム国内のベンチャーキャピタルが担っていました。
しかし翌2019年には、海外からの投資が投資金額をけん引し話題を集めました。
 

2019年の外国投資家による5大投資案件の概要 

2019年に行われた「外国投資家による5大投資案件」の合計金額が、同年1~10月のスタートアップの投資額(7億5,000万$)比で約85%に達したと「ベトナムネット」が報じています。

1)電子商取引(EC)サイト「Sendo」が、新規株式公開(IPO)やM&Aを目指す「シリーズC」において6,100万$調達
2)ECサイト「Tiki」が、シンガポールのノーススター・グループから7,500万$調達
3)物流サービス「Scommerce」がシンガポール政府系投資ファンドであるテマセク・ホールディングスから1億$を獲得
4)電子決済サービス「Momo」がシリーズCにおいてウォーバーグ・ピンカスから1億$獲得
5)電子決済サービス「VNPay」がシンガポールのGICとソフトバンクから、2019年国内最高額である計3億$を獲得

このようにベトナムへの投資は、国内だけではなく海外からも飛躍的に伸びているのです。
 

ベトナムのスタートアップ企業への投資の特徴 

スタートアップへの投資はEC関係が最も多くなっています。
これは、周辺の諸国よりもインターネットの使用者割合が高く、スマートフォンが普及しているためです。
2017年には5,020万人だったベトナム国内のインターネットユーザー数は2020年には6,360万人にのぼると予測されています。
そのため、ECを含めたインターネット関連ビジネスへの投資が集まっているのです。
 

ベトナムのスタートアップ企業の活躍

2020年2月の時点では東南アジアのユニコーン企業は11社で、ベトナムは設立12年の「VGN」社のみです。 
中国におけるアリババと並ぶ2大インターネット企業であるテンセント(騰訊)社。
VGN社は、「ベトナム版テンセント(騰訊)」と呼ばれており、多角的な事業経営を行い、テンセントと良く似た展開をしています。
 

おわりに

ご紹介したように、ベトナムのスタートアップ企業は、政府の強力なバックアップや投資の流入により増え続けています。

ただし、「起業数が多い」ということはそれだけ「優秀な人材が必要とされる」ことでもあります。 
企業数の増加に伴って、人材確保が難しくなってきているという問題等もあり、ベトナムに進出した日本企業の多くが多彩な取り組みを行っています。

起業をお考えの方は、成長著しくスタートアップ企業への手厚い支援があるベトナムに注目してみてはいかがでしょうか。

【参考URL】

事業構想「2020年までに100万社起業、ベトナムの描く起業国家戦略」

JETRO「ベトナム最大のスタートアップ・イベント開催、200社超が出展」

MOR「ベトナムのスタートアップ環境について」

JETRO「スタートアップへの投資額、5大案件が8割以上占める」

MOR「ベトナムのスタートアップエコシステム」

 

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