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日系製造業のベトナム進出が加速!中国に代わる"新有力候補地"に

日系製造業の海外進出先として、注目を集めているのがベトナムです。若年で勤勉な国民や、ITリテラシーの高い人材が豊富にいることに加え、GDP成長率が高水準で推移し、政府による投資促進策も実施されるなど、経済が右肩上がりに成長していることが魅力です。この記事では、日系製造業の進出先についての現状や今後の動向を解説します。

 

日系製造業の人気進出先とは

日系製造業は現在、どの国を進出先として選んでいるのでしょうか。また、今後どのような進出先を選んでいくのでしょうか。2023年に株式会社国際協力銀行(JBIC)が、海外現地法人を有する国内製造業を対象に、各現地法人の所在国・地域を調査しました(回答社総数524社)。

それによると、生産のための海外現地法人社数は、国別に1位 中国(387社)、2位 タイ(257社)、3位 米国(204社)、4位 インドネシア(163社)、5位 ベトナム(129社)となりました。現状では、中国やタイを中心に生産拠点を構えていることが分かります。


出典:株式会社国際協力銀行わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告―2023年度 海外直接投資アンケート結果(第35回)

また、同調査によると、中期的(今後3年程度)に有望と考える事業展開先の国として、次のような得票率となりました。

【有望国 得票率ランキング】
1位:インド(48.6%)
2位:ベトナム(30.1%)
3位:中国(28.4%)
4位:米国(27.1%)
5位:インドネシア(24.6%)

この得票率で、インドは昨年から有望国首位を維持しており、市場成長性や安価な労働力で支持されています。一方で、競合他社との競争や不十分な法整備を懸念する声も上がっています。また、巨大な市場規模や日本ブランドの人気の高さで選ばれていた中国は、米中対立の長期化や経済減速に対する懸念から順位を下げました。


 

ベトナムが新有力候補地に!拠点の増加数はトップクラス

そのような中国依存のリスク分散の受け皿として、注目を集めるのがベトナムです。有望国としての得票率は米国、中国を抜いて初の2位にランクイン。安価な労働力などの理由から生産拠点として評価されているようです。自動車や化学、電気・電子、一般機械といった幅広い業種で期待されています。

また、外務省による海外進出日系企業拠点数調査で、ベトナム国内にある日系企業拠点数(海外支店、現地法人や現地での創業など)は、2022年度で約2,400拠点と、2019年度から約400拠点が増えました。インド(約100拠点減小)やインドネシア(約100拠点増加)などと比べて、大幅に増加しています。

日系企業のベトナム進出が期待される主な理由としては、以下が挙げられます。

■若く勤勉な国民性
人口は約9,946万人(2022年)で、平均年齢は30歳前後と若いです。新しいことを積極的に学び、真面目に働く勤勉な国民性でもあります。また、スマホやSNSの利用率も世界トップクラスでITリテラシーが高く、デジタル化に対応できる質の高い人材もいます。

■経済成長と投資促進策
実質GDP成長率は2023年で前年比約5%でした。ベトナム政府は2024年のGDP成長率目標を6.0〜6.5%に設定しています。また、税制優遇(法人税や関税の免除)やスタートアップ支援などの投資促進策を講じ、外資の積極的な呼び込みを図っています。


 

まとめ

これまで日系製造業の進出先として選ばれていた中国は、米中対立の長期化や経済減速に対する懸念からかげりを見せています。その中国の後釜として有力視されているのがベトナムです。ベトナムは、若くてITリテラシーの高い人材が豊富で、高い経済成長率を維持していることから、今後さらなる日系製造業の進出が期待されるでしょう。

参考情報:
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2023/image/000005619.pdf
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/01/e0551490d4b6f8e4.html
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/11/de767106d66dc290.html
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/image/inv_vietnam06.pdf
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/vietnam/data.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_003410.html

 

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