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ASEANのビジネス解像度を高める ― Sansan池西が「ADX Talks 2022」を主催する理由

ASEANでのビジネスを担う経営者やマーケターの中には、ASEANの最新動向がなかなかキャッチアップできず、次の一手を悩まれている方も少なくないのではないでしょうか。

2022年12月16日(金)、Sansan株式会社(以下、Sansan社)は、東南アジアに興味のあるビジネスパーソンを対象に「ADX Talks 2022〜東南アジアと日本企業の今〜」を開催します。Sansan社では、コロナ事情が落ち着きつつあるこのタイミングで、なぜ「ADX Talks 2022」の開催を決めたのでしょうか。今回、イベントの発起人であるSansanの池西 亮さんから、イベントの詳細を含めてお話をうかがいました。


 

日本在住の東南アジア管掌担当が抱える「共通の悩み」

― 「ADX Talks 2022」が今月開催されますが、そもそも「ADX Talks」とはどのような背景で生まれたのでしょうか。

池西さん:
「ADX」という名称は、ASEANの「A」と、ビジネストレンドとなっている「DX」を組み合わせたものです。

2020年に開催した第一回目はCOVID-19の流行で、日本にいながら東南アジア事業を管掌する方々が、現地に直接足を運ぶことができなくなったこと、並びに現地の情報収集等にウェビナーが重宝されてきたタイミングでもあったことを背景に企画されました。

そして、「現地情報の多くをウェブで集めているものの、どの情報が最新で参考にしていいのか判断がつかない」「日系の同業他社の話をまずは知りたい」という意見が多かったこともあり、内容は日系企業(日本語)に絞ったものとしました。


Sansan Global Pte.Ltd / Director of Global Strategy 池西 亮さん

― 2020年にも「ADX Talks」は開催されましたが、今年の開催には、どのような背景があったのでしょうか

池西さん:
今年、開催を決めた理由は2つあります。日本国内のマーケットが、東南アジアに事業展開の矛先を向ける動きが時の流れと共に増えてきていること。

もう1つは、Covid-19パンデミックから2年経ち、日本-ASEAN間や東南アジア域内での出張が再開したこともあります。足を運んでのコミュニケーションが増えたため、JETROやJSIPへのASEAN各国に関する問い合わせが増えました。また、ADX Talksの続編を要望する声も顕著に増加するなど、ニーズの高まりを感じていました。


― Sansan社ではなぜ「ADX Talks」のようなイベントを立ち上げたのでしょうか。

池西さん:
それはSansanの掲げるミッション「出会いからイノベーションを生み出す」が背景にあります。

当社では、法人向け・個人向けのイベントを多く催しています。「イベントによって色々な方々がセレンディピティ的な出会いをする中でビジネスが生まれていく」- 我々は、このような機会の創出を日頃から大切にしています。

「ADX Talks」も「日系企業が東南アジアで活躍するために必要な機会をSansanが介在することで実現できるなら、それは我々のミッションに直結している」という考えから生まれました。

 

「ASEANのビジネス解像度を高める」- ADX Talks 2022の4つのセッション

― 今回の「ADX Talks 2022」はどのような内容なのでしょうか。

池西さん:
まず、「ASEANにおける日系企業の活動の解像度を高める」という目的自体は、2020年のADX Talksと変わりません。一方で、具体的なコンテンツは、ASEANの状況の変化に合わせ、Session1と2はスタートアップ向け、Session3と4はエンタープライズ向けと大きく2つに分けています。


― それぞれのセッションの概要をご紹介いただけますか。

池西さん: 
Session1は<日系スタートアップのアジア進出の狙いと、その後のリアルな現状を紐解く>。BESTER GLOBAL Co., Ltd.(元Retty Thailand)、株式会社RevComm、WILLER VIETNAM Co., LTD、Reeracoen Singapore Pte. Ltd.が登壇します。



海外市場に進出する必要があることは、頭で理解はしているものの、現地の実態が掴めない等の理由でアクセルを踏めていない方々も少なくないと思います。当セッションでは、日本の国内市場で一定の成功をおさめた後に、成長市場であるASEANに市場開拓先を見出したスタートアップ企業3社をお招きし、

・想定していた進出の狙いがどのようなもので、実際その後どのように進んだのか
・うまくいった or いかなかったプロジェクトや、その進め方及び特徴はどのようなものか
・今後の展開として何を見据えているのか?

について、ディスカッションいただきます。いずれの登壇者の方々も事業を進めてこられた主体者の方々で、具体的なお話が聞けることがセッションの最大の魅力です。


Session2は<東南アジア進出及び現地での事業拡大のために>。デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社、TechShake Pte. Ltd.、Cross Capital Pte. Ltd.、日本貿易振興機構(JETRO)が登壇します。



いざ、海外に進出しようと思ったとしても、何から手を付けるべきかわからないというのは、誰もが最初に通る道です。政府のサポート体制だけでなく、民間のサポートプログラムなど、ASEAN地域でよく活用される内容を可能な限り深堀りして情報をお届けします。

・具体的なサポートプログラム概要及びその活用事例
・海外進出時に注意すべき(やっておくべき)事柄
・ASEANといっても範囲は広く、各国ごとでの違いとは

いずれの登壇者も海外在住経験が長く、進出サポート経験も多くお持ちの方々となっています。


Session3は<老舗企業×東南アジアにおけるCVC活動の特徴>。このセッションは日本国内側からのニーズが特に多かったため企画したものとなっていまして、株式会社MOL PLUS、Mars Growth Capital Pte Ltd.、KDDI Asia Pacific Pte Ltd社が登壇します。



VCやCVC(Coprporate Vnture Capital)の動きは、大手企業やスタートアップ企業からも注視すべきものとなっています。しかし、その実態や違いまでを詳しく把握できる機会は多くはありません。そこで、デッドファイナンスといった形式や、共同でファンドを立ち上げたりと、それぞれ特徴があるCVCの方々にお集まりいただき、

・それぞれのCVCの設立背景とその特徴
・具体的なアクティビティ(投資エリア、投資判断基準等)の狙いとその進捗

についてディスカッションいただきます。それぞれのCVCの特徴(違い)を知ることで現地マーケットのリアルがより解像度深く捉えられることになります。


最後のSession4は<日本国内とは一線を画す現地マーケットの実態とその戦略> 。株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、Santen Pharmaceutical Co., Ltd.、日本工営株式会社、GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.に登壇いただきます。



産業や事業フェーズが異なる国内大手企業3社にご登壇いただくセッションですが、日本の市場と東南アジア現地の市場との違いに着目しながら、

・国内市場と現地市場との違いを踏まえて変更した内容
・事業方針や戦略を現地化する過程で発生した課題(社内/社外)
・今後の具体的な取り組みや展望

についてディスカッションいただきます。どのような意図と戦略で現地マーケットに入り込んだのか(入り込もうとしているか)、紐解いていく予定です。

 

成功要因だけでなく失敗要因からも学ベることがあるはず

― 今回のイベントで特に重視していることはありますか。

池西さん:
現地のリアルをより解像度高く伝えたいと思っています。抽象度の高い話をされて、受け手が曖昧なイメージや理解でとどまってしまっては意味がありません。良くも悪くも「生々しい、具体的な話」がいいと考えています。そのため、今回のイベントでは、「現場」を一番知っている方に多くご登壇いただいています。

また、これは個人的な考えとなりますが、成功要因には再現性がないケースが少なくないと思っています。会社のリソースも異なり、市場状況も刻一刻と変化する中で、過去の成功を真似るのはそもそも限界があります。むしろチャレンジした時にうまくいかなかった理由や失敗要因を学び、それを避けるという方が、成功への近道と考えることもできるはずです。


― 成功要因ではなく失敗からビジネスを組み立てる、ということですね。

池西さん:
はい。また、成功の要因ばかり探し続けると、「成功するためのプロセスをきれいに描けない限りはスタートゴーできない」などと、ファーストステップが踏みにくくなる原因にもなってしまいます。
 
スピーカーのみなさんには「実はこんなこともありまして…」「こんなこと言うと会社に怒られるかもしれないですけどね…」といった温度感でお話くださると本当にありがたいですし、話を聞く方々にとっても、その方がより有益で生きた情報となるはずだと考えています。

 

「ADX」は「未来のパートナー」との出会いの場である

― 最後に、イベントに参加されるASEANに興味のあるビジネスパーソンへ向けてメッセージをお願いします。

池西さん:
参加いただいた方たちが刺激を受けて自分たちでも何か具体的に始めようと思っていただけたら一番嬉しいですね。

今回のイベント開催にあたり、「JSIP」「Reeracoen」「デロイトトーマツベンチャーサポート」「One&Co」「JCCI」「JETRO」など、多くの企業や組織のご後援をいただいております。

ここに名を連ねている企業のみなさんは、東南アジアでの日本企業の活躍をさまざまな形で下支えをなさっています。言い換えれば、彼らは、みなさんの東南アジアへのビジネス展開を、協働しながら盛り上げていきたいと考えている「未来のパートナー」といえる存在です。主催者としては、こうした後援企業や、Session2で登壇される企業への問い合わせが増えたら嬉しいと考えています。

問い合わせが直接的に増えなくとも、例えば、それぞれの会社の中でASEANやグローバルに関する話が出てきたり、ADXに関する話がどこかでうまれたりと、見えないところで日本企業のASEAN展開に関する機運は高まっていくはずです。このように、東南アジアへの関心が活性化し、現場感のある生きた情報を積み重ねていくことが、将来的には東南アジアにおける日本企業のバリューの発揮につながると信じています。そのような未来の実現に少しでも寄与できたらと思います。

東南アジアに関心をお持ちのビジネスパーソンのみなさまにとって、「ADX Talks 2022」がその第一歩のきっかけになりましたら幸いです。

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