美容アナリスト・奈部川 貴子氏に聞く「これからの美容市場戦略」とは

【2020年4月3日】公開

美容アナリスト・ビューティーウェルネス研究家としてご活躍され、独自の観点から国内外の美容市場トレンドについて分析されてきた奈部川氏。
特別インタビューシリーズの今回は、日本と海外の美容市場の「今」と「これから」を深堀りし、今後の美容市場で生き残って行くための”How To”についてお伺いしてきました。

奈部川 貴子 氏 プロフィール 
株式会社ベイズガーデン代表取締役。
化粧品・美容商品におけるコンサルティングの担当として活躍。
ビューティブロガー・インフルエンサーを起用した販促サービス事業や、大手百貨店でのコスメショップ出店・運営などにも携わったのち、美容と健康の観点から独自の美容メソッドfacemap beautycare※1を考案。
セラピストとして、ホームケアやセルフケアのアドバイザーとしても活動中。
新規化粧品のプランニング、商品開発、ブランディング、コンセプト策定などのコンサルティング、特に異業種からの化粧品事業参入時のコンサルティング実績多数。
 
※1 顔の部位に触れることで内蔵などの不調を整え、正していくメソッド。
 

美容市場の「今」

日本の美容市場は約3兆円の市場規模へと成長を遂げ、拡大し続けています。
世界的にみても、およそ34兆円規模とされている美容市場は、トレンドの入れ替わりも早いため、常に先を見据えてのビジネス展開が必要となります。
 

1.「美意識」の多様性

とある調査データの結果によると、日本人を含むアジアの女性にとって「美しくなる」という概念は、
 
・化粧をすること(日本人的思考)
・整形すること(韓国人的思考)
・加工アプリで自撮り撮影(中国人的思考)
 
の主に3つの軸に分類されている、と奈部川氏はいいます。
 
「メイク文化、整形文化、(アプリで瞬時に加工する)フェイク文化が合わさっている状態が今の日本(美容)トレンド。コスメを選ぶように、自撮りアプリを選んで、自分にあった使い分け(イメージ加工)が出来るし、部分的な整形も普及している。化粧品アイテムとして人気なのは、「カバー力」のあるもの。アプリで加工できる「フェイク」な美しさが普及し、人々がそれに慣れてしまったので、ニーズが高まっているんです」
 

2. 「選択肢」の多様化

美容トレンドは、コスメなどの化粧品(完成品)だけに留まらない。
美容医療の進化(シミ、シワ改善、肌質改善等々)フィットネスジムなどが開発する即効性のある脂肪燃焼アイテムなど、「即効性」のあるものが増えたことで、美容市場のライバルは増え続けているようです。
 
「近頃は、歯医者でもヒアルロン注射(美容目的として)が可能なんです。美容外科へ行くよりも“歯医者”のほうが(領収書事情など)都合が良いということで、(一部では)広まりつつあります。また、美容皮膚科だけでなく、内科や婦人科、眼科などで美容系の治療を始めるところも出てきました 」(奈部川 氏)
 
もはや「餅は餅屋」状態、とはこのことで、これまでは大手ブランドが席巻してきた美容市場も、ニーズの変化によって他業種からの参入が広がっているといえます。



https://www.shiseido.co.jp/optune/ より

「テクノロジー」も美容業界で活躍の幅を広げており、資生堂が初めて開発した「オプチューン(Optune)」は、最新のIoTを活用して、日々刻々と変化する肌の状態を計測し、その時々にあった最適な肌ケア成分を専用マシンが抽出する、というシステムで、すべて自宅で行えるという点でかなりの画アイテム。
抽出パターンは80,000通りで、改良を重ねながら進化しています。
 

3.「化粧品」のパーソナライズ・細分化

さらに近年、海外では「オリジナルメイド」つまり、「自分仕様の化粧品」を作る、というムーブメントがサービス化され、アメリカを中心に流行しているという。
一部のインスタグラマーなどが、自身のオリジナル化粧品ブランドを作り、それを「VOLITION」という専用サイト上で販売などを行っており、メリットとしては小ロットからでも生産可能なことと、そうした「個人ブランド」を一つのサイトで運用することで運営会社が儲かるシステムとなっているため、新たなビジネスモデルとして注目されています。



https://volitionbeauty.com/ より

 小ロットから作れる上に、初期投資金額も少ないため、ビジネスを始めやすい。
日本未上陸のビジネスモデルだが、今後、流行する可能性大。
 

これからの「美容市場」を生き抜くためには

レッドオーシャンのなかでいかに「ブルーオーシャン」を見つけ出すか

美容市場がますます「多様化」「細分化」し、レッドオーシャン以上の「飽和状態」となっているなか、美容市場で生き残るためには綿密な戦略が必要だと、奈部川氏はいいます。
 
「化粧品業界で特に(今後の)伸び悩んでいるのは中価格帯の商品といわれています。知名度のある高級ブランドは富裕層と訪日外国人に支えられ、低価格のドラッグストア系コスメは(全部ではないにしろ)それなりに生き残っているけれど、その間の価格はどうなのか?3,000円〜4,000円くらいの価格帯ですね。中価格帯で元気なのは、ナチュラルブラン ド、オーガニックブランドなど、天然素材をベースにしたブランド。今後はより差別化されて登場してきます(イメージとしては資生堂バウムなど) 」
 
いかに、他社との差別化を図れるか、が戦略を立てる上で一番大切ということが、これからの美容市場で生き残って行く上での指標となることが伺えます。
 

日本を出て海外へ。「タイをハブとして、東南アジアへ参入」

日本が飽和状態であれば、海外でのビジネスへ目を向けることも一つの手段です。
それでも、既に多くの企業が海外への参入を試みてきたわけですから、決してむやみに行えるものではありませんが、いくつか重要なポイントを押さえることで、その先のビジョンも見えてきます。
 
「タイの美容市場もレッドオーシャンですが、日本のそれほどでは無く、まだチャンスは残っています。強いていうなら、『大手企業』にとっては既にレッドオーシャンだったとしても、中小企業にとっては可能性が残っているということです。その場合、重要となるのが『(製品の)企画力』だったり、『ニッチなターゲットを掴むこと(タイの市場把握)』です。しっかりとブランディング戦略を練らないと淘汰されてしまうのは、日本と同じです」(奈部川 氏)
 
その上で、着眼点としては、「日本にはあって、タイではまだ普及していない、あるは普及していても(日本と比べて)品質が悪かったり、種類が無かったりするアイテム」を把握することが重要なのだといいます。
 
「例えば、日本の衛生用品のクオリティは高いわけで。タイは、温暖な気候なので、それこそデオドラントなどのケア製品、(高齢化社会に向かっている傾向を踏まえて)加齢臭ケア製品、なども領域としてチャンスだと思います。そうすると、Made in Japanのクウォリティ―が生きてくる。あとは、最後は価格帯が合うかどうか」
 
適材適所のブランディング戦略の重要性は、美容市場での戦略を立てる上でますます加速させなければならいない領域だということは明白です。
重要なのは、市場を見極めた上で各々の戦略How Toを立てることなのではないでしょうか。
これからの美容市場を生き抜くためには、画一的な視点ではなく、「どういうニーズが生まれてくるのか」を予測した上で、戦略を練る必要があり、トレンドの先を読むことが一つのカギとなるのです。


ビッグビートでは、2019年よりタイを中心とした東南アジア諸国で開催される美容系展示会で、「Japan Recommend」と題して、日本の化粧品メーカー様の出展サポート及び販路拡大のための企画支援を行って参りました。
「ASEANBeauty 2019」(タイ・バンコク開催)を筆頭に、日本の美容市場を近隣のアジア諸国へ広めるべく、活動を行っております。
本年度も、引き続き魅力ある展示会出展企画をご提供させて頂いておりますので、奮ってのご参加お待ちしております。


■『COSMOPROF CBE 2020』への出展に関するご案内■

ビッグビートでは、今年タイ初開催となる東南アジア最大規模の美容展示会『COSMOPROF CBE 2020』へのご出展を検討されている企業様に向けて、オリジナルのパッケージプランをご案内しております。

このプランでは展示会出展のみならず、貴社に代わって商品を現地販売代理店へご紹介するなど、ビジネス成立へと近づけるようサポートをいたします。
展示会は「商談の場」としてご活用いただき、展示会後には現地販売代理店等とのコネクションを営業フォローしてまいります。

「展示会には出てみたけど、実際のビジネスへ繋がりにくい」といった悩みを少しでも解決できる場として、「COSMOPROF CBE」を最大限活用できるよう、サポートいたします。

どうぞお気軽にお問い合わせください。 
 

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