キャディが挑む、タイの製造業の調達と図面データ管理・活用の業務改革 | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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キャディが挑む、タイの製造業の調達と図面データ管理・活用の業務改革

日系の製造業がタイに進出してから数十年が経ち、そこで蓄積されたノウハウから高い品質基準を満たせるようになりました。しかし、長い歴史があるからこそ、タイの製造現場には特有の課題が生まれています。この課題解決に挑んでいるのがCADDI  (THAILAND) Co.,  Ltd.です。同社で代表を務める武居さんに、どのような取り組みをしているのか話を伺いました。

 

製造工程における調達のDX化と、図面データのアセット化を図る

― 貴社の事業概要についてお聞かせください。

キャディは「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をビジョンに掲げ、主に「CADDi MANUFACTURING」、「CADDi DRAWER」といった2つのソリューションを展開しています。

まず、「CADDi MANUFACTURING」は、製造工程で100年以上イノベーションが起こっていない調達業務のDXを進めるサービスです。例えば、多品種少量の部品を扱う企業の場合、購買担当者だけでサプライチェーン全体を管理・最適化するのは困難でしょう。最終的なサプライヤーとなる町工場のような取引先は数が増えれば増えるほど、各企業の強みや条件を把握しきれなくなります。ここを自動化・効率化してサプライチェーンのコストや品質を改善します。


出典:https://open.talentio.com/r/1/c/caddi-jp-recruit/homes/4139


― サプライヤー側にもメリットがありますでしょうか。

新規営業開拓を私たちが代行できるという点がメリットです。特定の既存顧客に売上が依存すると需要の変動で売上が大きく左右されてしまいます。とはいえ、経営者は忙しくて新規営業開拓に時間を割くことが難しいため、当サービスで支援を行っています。

さらに、海外のサプライチェーン立ち上げも伴走支援できます。具体的に、日本語を理解できない現地スタッフのために、品質基準書の内容を私達が咀嚼してローカル言語に合わせることで、海外でも品質基準を満たすことが可能です。デジタルツール導入による管理業務の高度化・高付加価値化も図ります。


― 2つ目のソリューションについてお聞かせください。

「CADDi DRAWER」は、図面データ管理・活用を支援するサービスです。

図面はデータをアセット化できていないことで多くの課題が生じています。例えば、管理が部門ごとにサイロ化されていることでデータへのアクセスに時間がかかったり、図面データが共有されないことで本来流用できるはずの図面も新たに作図し無駄な工数がかかってしまったりすることも珍しくありません。購買担当者が分かれていると部品ごとに扱う価格が異なり、QCDのブレにつながることもあります。

これに対して、CADDi  DRAWERは、データ蓄積の機能を提供するほか、図面ごとの細かな寸法や材料、形状などの情報をAIで統合・解析し、その結果をもとに図面や部門間の連携を円滑化します。


出典:https://open.talentio.com/r/1/c/caddi-jp-recruit/homes/4139

例えば、スズキの設計部門でも過去図面や関連情報、流用可能な部品の検索を効率化するためにCADDi DRAWERを導入しています。数十万の図面を登録し、キーワードや品番、画像での検索を可能にすることで検索スピードを向上させ、業務工数を削減しました。類似部品が流用しやすくなり、設計に必要なリソースの最適化と生産性向上が期待されています。

 

グローバルのサプライチェーンを強化するためタイへ進出

― なぜタイに進出されたのでしょうか。

まず、CADDi MANUFACTURINGでの海外展開を決めたのですが、その背景には、日本の町工場は人手不足や高齢化によってキャパシティやコストを下げることが難しくなっている現状がありました。そこでサプライヤー側を強化するために、ベトナムとタイへの進出を決めました。

両国にはいくつか共通点があります。1つに、日系メーカーがすでに進出していて、日本のものづくりの品質を理解されている方が多いということ。ワーカーの年齢層が若く、成長エネルギーがあります。品質が日本と同等ながらも、コストをより安くできるように拠点を作りました。

とはいえ、ベトナムとタイでは日系のものづくりの歴史が異なります。ベトナムは専門的な設計の知識が求められる複雑な部品や組み立てには対応しきれないこともありますが、タイは日系企業が進出して以来40〜50年間で培われてきたノウハウや経験が豊富です。そのため、複雑なものはタイで、シンプルなものはベトナムでという棲み分けをしています。

 

変革が難しいタイ製造業のサプライチェーンや育成環境を最適化

― タイの製造現場にはどのような課題がありますか。

大きく3つあります。まず、歴史の長さゆえに過去のオペレーションのまま工場運営が行われている部分があること。このままでは、需要サイドの変化に業務が対応できなくなる可能性があります。
2つ目に、組織的構造の観点から、変革が難しいということです。現地駐在員が在籍する限られた期間では、オペレーションを変革したいと思っても時間やコストに限界があります。
最後に、ノウハウの継承が難しいという点があります。数年ごとに駐在員やワーカーが入れ替わる環境では、現場で培ったノウハウが新しい世代に引き継がれません。


― これらの課題解決に貴社のソリューションはどう貢献できますか。

最も大きいのは、CADDi DRAWERを通じたワーカーの業務の高付加価値化です。CADDi DRAWERの仕組みがあれば、日本国内や他ワーカーのノウハウを体系的に学べるので、製造だけでなく、設計や組み立てといった付加価値の高い業務を任せられます。それにより、日本国内に営業窓口を設けなくとも、タイで受注して設計、提案までできるでしょう。教育のコスト削減とスピード化にも有効です。

CADDi DRAWERの導入に際しては、営業担当者のほかに導入を成功させるカスタマーサクセスのスタッフがお客様に寄り添います。経営者や現場担当者とのヒアリングを通じて課題を整理し、導入効果を最大化する使い方を相談・提案できます。システムは導入しても現場で使用されないという課題が生じやすいため、現場への定着化を支援しています。

また、CADDi MANUFACTURINGでは、日系企業からしか受注できていない企業に対して、例えばアメリカなど他国からの受注を目指せるように伴走支援し、新たなサプライチェーンの立ち上げを推進します。


出典:https://open.talentio.com/r/1/c/caddi-jp-recruit/homes/4139

当社ではホンダグループやいすゞ自動車で品質担当をしていたスタッフが在籍しているので、ものづくりの一連フローを熟知したスタッフとともにプロジェクトを進められます。工場の監査からスタートして改善に取り組み、品質基準書を読み込んで、出荷前の最終チェックなどもサポートします。

 

「タイの製造業は強い」という認識を世界に広める

― 今後の展望についてお聞かせください。

引き続き、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というビジョンに向かって突き進でいきます。ただ、それを実現するためにはお客様にしっかりと自社の持つ価値を届けていくことが重要です。

日系の製造業を中心に「このままではマズい」と思いながらも、危機感で止まって行動に移せていない企業が多いです。これが変わるのは、さまざまな成功例が生まれる瞬間です。多くの事例を見ながら前向きにとらえることで、変革は勢いづくと思います。そうした中で「タイの製造業は強い」ということを世界に認識してもらえるよう貢献していきます。
 

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