マーケティング戦略&教育から伴走まで。MAツールを携えベトナム市場を切り開くクラウドサーカス | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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マーケティング戦略&教育から伴走まで。MAツールを携えベトナム市場を切り開くクラウドサーカス

ASEANの中でもベトナムは人口・経済ともに大きな伸びを見せ、DXへの投資という観点から今後大きな可能性を秘めています。その中で、クラウドサーカス株式会社は、顧客開拓や商談創出などのマーケティング活動を自動化するマーケティングオートメーション(MA)ツールの「BowNow」をベトナム市場に展開しています。そこで、今回は同社のベトナム事業をリードする菅宮さんに、ベトナムへの進出背景や営業戦略などについて話を伺いました。


クラウドサーカス株式会社 
海外事業部 シニアマネージャー ベトナム国責任者
菅宮 道晴 さん


 

国境を越えて中小企業に「刺さる」ツールを提供

— 最初に、貴社の事業概要についてお聞かせください。

当社はデジタルマーケティングツールの開発・販売を行う企業として、お客様の認知拡大や集客・見込み顧客育成など、マーケティングの各フェーズに貢献するさまざまなSaaS製品ラインアップを提供しています。ベトナムでは、日本国内でNo.1シェアを獲得した「BowNow」というMAツールを中心に展開しています。BowNowを活用することで、見込み顧客獲得から商談創出にいたるまでに生じるマーケティング業務プロセスを自動化・効率化できます。


 出典:https://bow-now.com/

— どのような点に着目してベトナムに進出されたのでしょうか?

ベトナムの人口構成比や経済成長率はもちろんですが、シンプルで使いやすく、低コスト、中小企業向けをコンセプトしている当社の製品は参入できる余地が非常に大きいと考えました。

日本では、MAツールは月額20万円超のハイエンドな製品が多く導入される中、BowNowは必要な機能を必要なだけ課金していく料金体系のため、リーズナブルな価格で利用でき、マーケティングになかなか予算をかけられない中小企業を中心に14,000社以上の企業に導入いただいています。

アジア地域の国々でも同様にマーケティングに予算をかけられない企業は多いと思います。その中でも特にGDP成長率も著しいベトナムであればそのチャンスは大きいと見込んでいます。また、パートナー企業と話が進んでいたこともあり、ベトナムへ進出しました。

とはいえ、ベトナムはまだMAツールのマーケットがほぼない状況です。マーケティングオートメーションという言葉は、以前よりは認知されつつあるとはいえ、日本企業でも認知率は半分にも満たないのではと思っています。

ましてやベトナムなどのアジア市場では、おそらく全体の2割程度しか知らないでしょう。裏を返せばまだ十分に伸びしろがあるとも見ています。

 

ベトナムは即時性の高い「魔法の杖」を求める?

— 「BowNow」は、どのような課題を持つ企業に選ばれているのでしょうか?

一言で言えば、「営業を伸ばしたい会社」です。メインターゲットはBtoB企業で、特に製造業や商社、法人向けの無形サービスを販売している企業です。これらの会社はマーケティングに潜在的な課題があり、営業がうまくいかないというケースも少なくありません。

具体的には、新規リードをどう獲得するかという戦略や、リード獲得後にどのように商談のフェーズまで進めていくかという部分を標準化できてないという課題があります。ただし、BtoBにおけるリード獲得戦略の型はある程度決まっていることもあり、この型をしっかり教えてあげることも我々が提供できる1つの価値です。

ウェビナーなどで積極的にノウハウを発信している( 出典: https://bow-now.com/webinar/ )

その型を実践してもらった後は、「そのリードをどう商談化するのか」という個別具体的なノウハウ・やり方をお客様と一緒に考えたり、商談化をこちらで代行したりする活動も行っています。

MAツールは、扱う側のリテラシーに左右されるケースも少なくありません。導入後にBPOや業務のアウトーソーシングを希望するお客様もいるので、ベトナム市場においては、ツールの販売に加えて運用代行や社員への教育もサービスメニューとして提供しています。


— 日本での成功パターンは、ベトナムでも適用できるのでしょうか。

大枠の方法は近いと思っていますが、やはり国ごとの違いはあります。例えば日本では、製造業の企業が新聞や業界誌に広告を出すことが多いですが、ベトナムやタイではオンラインメディアが主流です。

考え方や道具に対する理解の違いも留意する必要があります。ベトナムでは「結果がすぐに出るツール」を求める方が多いという印象があり、戦略面までフォローすることは必須です。

計画的に投資や雇用を行い、その中できちんとKPIを設定して営業・マーケティング活動を行うのは、確かに日本企業でも難しかったり苦手と感じたりする企業は多いですが、ベトナムでもそれを徹底することが苦手だという方は多いと感じます。とりあえず飛び込みをするといった場当たり的な営業をしていたり、人を安めに雇って出来高で何とか動かすというケースが多いですね。

 

MAツールの必要性と価値を伝え、ツール使用時のフォローも行う

— MAツールの必要性をどのように伝えているのでしょうか?

トラッキングやリードナーチャリングなど、MAツールの機能を活用して顧客にアプローチすることはもちろんですが、基本的に「危機感を煽って売るやり方」は悪手だと思っています。そのため、現在はセミナーやホワイトペーパーを通じて価値を伝えたり、自分たちの体験をしっかり発信したりすることに注力しています。

自分たちの経験や教訓を包み隠さずに話すことが信頼にもつながりますし、結果的に皆様の役に立つので重要だと思います。お客様の中で、もし今後営業・マーケティング活動において取れるはずの利益を逸してしまったり、MAツールの重要性を徐々に感じたりするようになった際に、クラウドサーカスのことを第一に思い出してもらえればと思っています。


— 将来的なビジネス戦略や今後の展望について、お聞かせください。

ベトナム以外にもタイやシンガポール、マレーシア、フィリピンへの展開を視野に入れています。マーケティングやDXの文脈がまだ広がっていないアジア市場に対して、営業・教育しつつその価値を伝えることが重要です。

当社自身の教育という点では、「クライアントのクライアントを見る」ことを意識するよう従業員には徹底させています。直接のクライアントではなく、その先にいる顧客が「どのような思いを持って、どう動いているのか」を理解していなければ、結局何も売り込めないと考えています。

どれだけ良い機能を持ったツールであっても、きちんと使えなければ意味がありません。日本とベトナムでは、ツールに対する考え方が異なるため、フォローの仕方も異なります。我々は、その違いをきちんと理解し、お客様に寄り添い伴走できる企業でありたいと思っています。



 

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