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COVID-19が永遠に収束しない場合、タイ経済に何が起きるか?

2021年4月でタイは非常事態宣言が発令してからちょうど1年になります。しかし、タイの非常事態宣言は11回の延長がなされ、未だ非常事態宣言下です。特に2020年末にバンコク近郊で新たな感染クラスターが発見されたことで、タイ経済の展望は依然として予測がついていません。

バンコク中心地にオフィスを構える弊社の周りにあるホテルの多くは休業状態にあり、大型ショッピングモールのテナントも撤退してシャッターを下ろしているところも多くあります。3月になって、飲食店でのアルコール提供が可能になったこともあり、客足が戻って来たものの観光客の受入れをしていない現状では、パンデミック以前の盛況にはほど遠い状況です。タイ政府によりますと、2021年10月には海外からの入国の門戸を開く計画のようですが、COVID-19の第3波、第4波の危険性もあり不透明な状況であります。

今後の状況が読めない中、​​タイのアユタヤ銀行のKrungsri ResearchCOVID-19が永遠に収束しない場合、タイ経済に何が起きるか?というレポートを発表していましたので、その一部をご紹介します。



Bigbeat Bangkok オフィス周辺の様子(Photo by Bigbeat Bangkok)
 

タイのCOVID-19への対策とその影響

レポートによりますと、タイにとってパンデミックを乗り切るための最優先事項は、COVID-19感染拡大の制御と抑制であることは間違いないようです。つまり、たとえ結果としてこれまで安定した経済成長のけん引役となってきた産業(例えば観光産業)が深刻な打撃を受けることになったとしても、​​タイ政府は外国との往来を厳しく制限し、重要な地域を経済的にロックダウンする以外の選択肢は取らないようです。

その上、国内消費も一時的に制限されています。これらの政策が流行を防ぐのに、大きな効果をもたらすことは間違いないにしても、経済に深刻な副作用が生じることは避けられません。

COVID-19感染症拡大の第1波と第2波がさまざまな産業に与えた影響の分析では、最大の打撃を受けているのが観光産業とサービス産業であるとしています。そうした産業の中心は航空旅客輸送業、ホテル業、レストラン業となっています。また、これらの業種では 18~45%の賃金カットも行われているようです。そして、仮に2021 年の景気見通しが改善し、多くの企業が労働時間を再び延ばせる状態になったとしても、2019年の賃金水準を下回ったままである可能性が高いとしています。

 

COVID-19の流行による、6つの変化

そして、COVID-19が永遠に収束しない場合、タイ経済の状況が変化する分野として以下の6つを挙げています。

1、政府の医療費負担率の引き上げの要望から、医療と公衆衛生への支出が増加

2、感染拡大を抑えるための施策と旅行の制限によって、展示会、スポーツイベント、コンサートなどを中心に経済活動が全体的に停滞。移動規制を厳格化する必要があるため、海外旅行にも同様に大きな影響

3、病気予防のための支出を増やす必要があり、企業の経費も増加

4、労働生産性が低下(すでに昨年に比べて労働生産性は約10%低下しています)

5、企業は進化する顧客のニーズと課題に対処するためにデジタルテクノロジーの導入を加速。同時にパンデミックを生き残るために必要とされる働き方改革を促進するためのテクノロジーが注目される

6、資源(労働力、資本、原料)は、影響が深刻な産業から混乱が少ない産業へと移動。地域による影響の差においても、労働力の地理的再分配が加速。





パンデミックが収束しない場合、経済が健全な状態を取り戻すまでにかかる経済的コストは膨大になり、回復までの時間も相当長引くことが判明しています。また​​勝ち組になる産業と負け組になる産業も明確になって来ています。厳しいソーシャルディスタンス規制を課し、継続する必要もあるため、​​最も打撃を受ける産業は、観光、レストラン、旅客輸送に関連する産業になると思われます。一方、​​IT、通信、医療、エレクトロニクス産業はパンデミック以前の水準に戻りつつあるとみています。

また、経済活動が停滞するだけでなく、タイの世帯間にもともとあった格差がさらに深刻化して景気回復の可能性がますます遠のくことも示唆されています。しかし産業間の資源移動を容易にすれば問題の緩和につながるとも指摘しており、成長ポテンシャルの高い産業や企業に生産資源が再配分されるよう促す措置は、タイの景気回復を後押しする上で役立つと見ているようです。



タイ政府はパンデミックをきっかけに、明らかに過去の成功体験からの脱却を図ろうとしていることが伺えます。例えば、パンデミックの中でTech系スタートアップ企業が数多く生まれており、政府はそれを強力に支援しています。今後、デジタルエコノミー、スマートシティなどがより注目されることを踏まえると、改めて「タイランド4.0」の意義とポリシーを理解しておく必要があるかもしれません。

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