【2025年最新】日系企業のタイ進出状況とは?成功のポイントも紹介 | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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【2025年最新】日系企業のタイ進出状況とは?成功のポイントも紹介

タイは日系企業にとって長年にわたり重要な海外拠点として位置づけられています。2025年現在、タイで活動する日系企業は6,000社を超え、アセアン地域の中でも最大規模の集積地となっています。しかし、中国企業の台頭やEV市場の急速な再編など、競争環境は大きく変化しています。本記事では、タイにおける日系企業の最新状況と進出のメリット、直面する課題、そして成功のための具体的な戦略について詳しく解説します。

タイで成長する日系企業の現状

タイにおける日系企業の進出は1970年代から本格化し、現在では6,083社が活動を展開しています。ジェトロの調査によると、2020年度の5,856社から227社増加しており、アセアン地域における最大の日系企業集積地となっています。

タイの産業別日系企業の分布

タイに進出する日系企業は製造業を中心に幅広い業種で展開しています。タイ商務省事業開発局の定義では、日本法人または日本人が10%以上出資している企業を日系企業としており、2024年7月時点で登録数は9,146社に達しています。このうち活動が確認できる企業は6,083社、基礎情報が判明している企業は5,158社となっています。

製造業では自動車産業が圧倒的な存在感を示しており、日系メーカーは長年にわたり約8割の生産シェアを維持してきました。2022年のタイにおける自動車生産台数は190万台で、世界10位、アセアン地域では1位の規模を誇ります。電機・電子産業も日系企業の強みが発揮されている分野で、品質管理や技術力の高さが現地市場で高く評価されています

投資規模の傾向

日本からタイへの投資は2020年から2025年9月までの期間で約1,500件、投資額は約1兆9,000億円に達しています。しかし、競争環境は大きく変化しており、中国企業の進出拡大により日本の投資シェアは相対的に低下しています。2023年1月から9月の外国直接投資では、中国が22.1%で1位、日本が15.1%で2位となりました。

投資内容も従来の製造業中心から多様化・高度化が進んでいます。タイ投資委員会は半導体、データセンター、デジタル、バイオ・サーキュラー・グリーン産業などを重点産業に指定しており、日系企業もこれらの分野への投資を積極化しています。政府の「クイック・ビッグ・ウィン」政策やタイランド・ファストパスの導入により、投資承認期間は20〜50%短縮される見込みとなっています。

進出形態の種類

日系企業のタイ進出形態は出資比率によって大きく3つに分類されます。まず100%出資の完全子会社は、本社の方針を直接反映しやすく、自動車や電機など基幹産業で多く見られます。この形態では品質管理や技術移転が円滑に進められる利点があります。

次に50%以上100%未満の筆頭株主形態では、現地パートナーとの連携により柔軟な事業運営が可能となります。サービス業やサプライチェーン関連企業でこの形態が選ばれることが多く、現地の商習慣や市場特性への適応がしやすくなります。50%未満の関連会社・技術提携形態は、現地主導の経営に日本側が技術供与や品質管理で関与する形で、中小部品メーカーなどで採用されています。

雇用市場の最新動向

タイの日系企業による雇用規模は約140万人で、全雇用の約11%を占めています。これは日系企業がタイ経済において重要な役割を果たしていることを示しています。しかし、2024年以降は人材確保の難化が大きな課題となっています。

特に専門技術者や管理職層の採用競争が激化しており、給与水準の上昇が続いています。中国企業をはじめとする外資系企業との人材獲得競争も激しくなっており、日系企業は待遇改善だけでなく、キャリア開発機会の提供や働きやすい職場環境の整備など、総合的な人材戦略が求められています。現地大学との産学連携や技術研修プログラムの充実も、優秀な人材を確保するための重要な取り組みとなっています。

タイでの日系企業進出のメリット

タイは日系企業にとって多くの魅力を持つ進出先です。整備されたインフラ、充実した産業基盤、そして戦略的な地理的位置により、アセアン市場への展開拠点として最適な環境が整っています。

タイ市場の成長機会

タイの国内総生産は着実な成長を続けており、2000年代から2010年代前半にかけては年率5〜7%の高成長を維持していました。人口約7,000万人を抱える内需市場は、中間所得層の拡大とともに消費力が高まっています。特に首都バンコクを中心とした都市部では、生活水準の向上により自動車、電化製品、サービス業など幅広い分野で需要が拡大しています。

また、タイは製造拠点としてだけでなく、域内6億人市場を見据えた輸出ハブとしても機能しています。ASEANの中心に位置するその地理的優位性は、周辺国へのアクセス拠点として最適です。さらに、日タイ経済連携協定(JTEPA)による関税撤廃もこの動きを強力に後押ししています。立地と制度の両面で優位性があることが、日系企業がタイを地域統括拠点として重視し続ける理由となっています。

投資優遇制度のポイント

タイ投資委員会(BOI)は、外国企業の誘致に向けて手厚い優遇措置を用意しています。その中核となるのが税制優遇で、製造業では最長8年の法人税免除に加え、関連設備の輸入関税も免除されるなど、進出企業のコスト負担を大幅に軽減する仕組みが整っています。

さらに、政府が注力する半導体やBCG(バイオ・サーキュラー・グリーン)経済などの重点産業には、より好条件な支援が適用されます。2024年からは投資承認の手続きを迅速化する制度(タイランド・ファストパス)も導入され、制度の充実と行政手続きの効率化の両面から、投資環境の魅力が高まっています。

地理的優位性の活用

タイはインドシナ半島の中央に位置し、陸路でミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接しています。この地理的特性により、陸上輸送網を通じたアセアン域内への物流展開が効率的に行えます。バンコク港やレムチャバン港などの海運インフラも整備されており、海上輸送の拠点としても機能しています。

スワンナプーム国際空港は東南アジア有数のハブ空港として、世界各国との航空ネットワークが確立されています。日本からの直行便も多数運航されており、人の移動や緊急の物資輸送にも対応しやすい環境です。また、タイ・プラスワン戦略として、タイを拠点に周辺国での生産展開を組み合わせる企業も増えており、地域全体を見据えた事業展開の起点として活用されています。

サプライチェーンの優位性

タイには1970年代から日系企業が継続的に進出してきたため、高度に発達した日系サプライチェーンが形成されています。自動車産業を例に取ると、完成車メーカーだけでなく、一次サプライヤー、二次サプライヤーまで幅広い部品メーカーが集積しており、国内での調達が可能な体制が整っています。

この産業集積は、高い現地調達率によるコスト削減だけでなく、開発から量産までのスピードアップや品質管理の効率化も実現しています。さらに、先行企業が築いたネットワークや商社などによる日本語サポート体制も充実しており、新規進出企業であってもスムーズに事業を立ち上げられる「参入障壁の低さ」も大きな魅力です。

タイでの日系企業が直面する課題

タイでの事業展開には多くのメリットがある一方で、日系企業は様々な課題にも直面しています。法規制への対応、労務管理、文化的な違い、そして為替リスクなど、現地での事業を成功させるためには、これらの課題を適切に理解し対処することが不可欠です。

法規制対応の難しさ

タイでの事業展開において大きなハードルとなるのが、頻繁な法改正と複雑な規制環境です。特に外国人事業法による参入制限や日本とは異なる商慣習が存在するため、事業計画の初期段階から現地の法規制を正確に把握し、専門家の知見を取り入れることが不可欠です。

近年はこれに加え、データ保護法などのデジタル関連規制も強化されています。法令違反は深刻な事業リスクに直結するため、現地の法務・会計専門家と連携してコンプライアンス体制を固めると同時に、最新の法改正を常にキャッチアップできる仕組み作りが重要です

労務管理の現場課題

タイの労働市場では人材の流動性が高く、離職率の管理が大きな課題となっています。特に若年層は転職に対する抵抗感が少なく、より良い条件を求めて頻繁に職を変える傾向があります。優秀な人材の定着率を高めるには、競争力のある給与水準だけでなく、キャリアパスの明確化や福利厚生の充実が必要です。

最低賃金の上昇も継続的な課題です。政府は定期的に最低賃金の見直しを行っており、人件費の上昇は企業の収益を圧迫する要因となっています。また、労働法では残業規制や休日の規定が厳格に定められており、違反した場合には罰則の対象となります。日本の労働慣行とは異なる点が多いため、現地の労働法を正確に理解し、適切な労務管理体制を構築することが求められます。

文化差によるコミュニケーション課題

タイと日本の企業文化には大きな違いがあり、円滑なコミュニケーションには工夫が必要です。タイ人従業員は上下関係を重視する一方で、直接的な批判を避ける傾向があるため、日本的な報告・連絡・相談の文化が定着しにくい場合があります。問題が表面化しにくく、トラブルが拡大してから発覚するケースもあります。

言語の壁も大きな課題です。英語や日本語を流暢に話すタイ人スタッフは限られており、重要な情報が正確に伝わらないリスクがあります。日本人駐在員も現地語を習得することで、現場との距離が縮まり、より深い信頼関係を築くことができます。また、タイの宗教や習慣を尊重し、現地の祝日や仏教行事に配慮した運営を行うことも、従業員との良好な関係構築に繋がります。

為替変動の影響

タイバーツと日本円の為替変動は、企業の収益に直接的な影響を与えます。輸出入取引を行う企業にとっては、為替レートの変動により想定していた利益が目減りするリスクがあります。特に、タイで生産した製品を日本や第三国へ輸出する場合、円高バーツ安になると円ベースでの売上が減少します。

為替リスクへの対応には、先物予約やオプション取引などのヘッジ手段を活用することが一般的です。また、調達や販売の通貨を分散させることで、特定通貨への依存度を下げる戦略も有効です。グループ内での資金管理を効率化し、キャッシュフローのタイミングを調整することも、為替リスクを軽減する方法の一つです。財務部門だけでなく、営業や調達部門も為替動向を注視し、機動的な対応ができる体制を整えることが重要です。

タイで成功する日系企業の実践戦略

タイでの事業を成功させるためには、現地の市場環境や競争状況を踏まえた戦略的なアプローチが必要です。進出形態の選定から人材戦略、生産調達の最適化、デジタル活用まで、具体的な実践戦略を解説します。

進出形態の選定基準

タイへの進出形態を決定する際には、事業目的、投資規模、リスク許容度などを総合的に考慮する必要があります。100%出資の完全子会社は、本社の方針を迅速に反映できる一方で、初期投資が大きく、現地の商習慣への適応に時間がかかる場合があります。一方、合弁企業の形態では、現地パートナーの知見やネットワークを活用できるため、市場参入がスムーズになる利点があります。

業種によっても最適な形態は異なります。製造業で品質管理や技術移転を重視する場合は、完全子会社が適しています。小売業やサービス業など内需型ビジネスでは、現地パートナーとの合弁により市場理解を深めることが成功の鍵となります。また、初期段階では駐在員事務所や販売代理店契約でテスト的に市場参入し、その後に現地法人を設立する段階的アプローチも有効です。

現地人材戦略の実務

優秀な現地人材の採用と育成は、タイでの事業成功に直結します。採用活動では、求人サイトや人材紹介会社の活用に加え、現地大学との連携によるインターンシッププログラムも効果的です。タイの若年層は成長機会を重視するため、明確なキャリアパスと研修制度を提示することが重要です。

管理職への現地人材の登用も進めるべきです。日本人駐在員に頼った経営では、現地の市場ニーズや従業員の声が経営層に届きにくくなります。現地スタッフをマネジメント層に育成することで、組織の現地化が進み、意思決定の迅速化と従業員のモチベーション向上が期待できます。日本での研修機会や、地域統括会社での経験を積ませることも、グローバル人材の育成に繋がります。

生産調達の最適化方法

製造業においては、生産効率と調達コストの最適化が競争力の源泉となります。タイには日系サプライヤーが多数進出しているため、品質基準を満たす部材を現地調達できる環境が整っています。現地調達率を高めることで、輸送コストとリードタイムを削減し、為替変動のリスクも軽減できます。

一方で、タイ・プラスワン戦略として、周辺国での生産も視野に入れる企業が増えています。ベトナムやミャンマーなど人件費が相対的に低い国での生産と組み合わせることで、コスト競争力を維持しつつ、タイの技術力と物流機能を活用する複合的な生産体制が構築できます。ただし、複数国での生産には管理コストの増加や品質管理の複雑化といった課題もあるため、自社の事業特性に応じた最適なバランスを見極めることが重要です。

デジタル活用での市場開拓

タイでは急速なデジタル化が進んでおり、スマートフォンを起点とした消費行動が定着しています。そのため、LazadaなどのECプラットフォームへの出店に加え、SNSやインフルエンサーを活用した情報発信を組み合わせることが、市場開拓の必須条件となっています。

一方、デジタル技術の活用はマーケティングにとどまりません。生産現場でのIoT導入による効率化や、データ活用による新たなビジネスモデルの創出など、企業の競争力を根底から高める動きも加速しており、事業拡大と基盤強化の両面でのDXが求められています。

まとめ

タイにおける日系企業の進出は、1970年代から現在まで着実に拡大してきました。2025年時点で6,083社が活動しており、製造業を中心に幅広い業種で展開しています。しかし、中国企業の台頭やEV市場の急速な再編など、競争環境は大きく変化しています。

  • タイは日系企業が6,000社以上集積するアセアン最大の拠点である
  • 整備されたサプライチェーンと投資優遇制度が進出の大きなメリットとなる
  • 法規制対応や労務管理、文化差への理解が事業成功の鍵を握る
  • 進出形態の選定、現地人材の育成、デジタル活用が実践的な成功戦略となる
  • 中国企業との競争激化に対応するため、従来の製造業中心から高付加価値分野への転換が求められる

タイでの事業展開を検討されている企業の皆様は、現地の最新動向を把握し、自社の強みを活かした戦略的なアプローチを構築することが重要です。市場調査や現地パートナーとの関係構築など、入念な準備を行うことで、タイ市場での成功確率を高めることができます。

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