初の海外展示会で躍進!現場DXサービス「KANNA」提供のアルダグラム社が語る、タイ市場の魅力とビジネス展開のポイントとは? | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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初の海外展示会で躍進!現場DXサービス「KANNA」提供のアルダグラム社が語る、タイ市場の魅力とビジネス展開のポイントとは?

日本企業にとって、ますます魅力的なマーケットとなっているASEAN。一方で、言語の壁や文化の違いもあり、日本のスタートアップ企業がゼロからASEANへ進出するのは、未だにハードルが高いのが現状です。

そのような中、Bigbeat Bangkok Co., Ltd. (以下、Bigbeat Bangkok)が提供する"ICHI media"も活用しながら、タイを中心としたASEANでのビジネス展開を強力に推進している企業があります。それが「株式会社アルダグラム」( 以下、アルダグラム社 )です。

今回、アルダグラム社 執行役員/事業開発本部長の伊東 伸司さんから、アルダグラム社がどのようにタイのビジネス展開をしてきたのか、またそのプロセスでどのようにICHI mediaを活用したのかについて、話を伺いました。


株式会社アルダグラム 執行役員/事業開発本部長 伊東 伸司さん

 

創業当初から視点はグローバルに!スピーディーなタイ進出の背景

 ― アルダグラム社といえば、建設業や製造業などノンデスクワーク業界の現場向けプロジェクト管理アプリ「KANNA」を提供されていますが、改めて紹介をいただけますか。

伊東さん: 
アルダグラム社は、2019年5月にまずは日本でビジネスを始めました。日本の建設業界は人手不足や高齢化などの課題を抱えており、その課題を解決するために「KANNA」を開発しました。全世界で利用社数は30,000社以上で(2023年10月時点)、フィリピン、ベトナム、インド、ドバイ、スペイン、メキシコなどの海外でも利用いただいています。


― 「KANNA」は「英語」「タイ語」「スペイン語」、最近では「ベトナム語」にも対応するなど、非常に速いテンポで海外展開を進められていますが、なぜでしょうか? 

伊東さん:
いくつか理由があります。ひとつは、共同創業者・CEOの長濱がバンコクで働いていた経験があり、創業にあたり当初からグローバルで勝てるスタートアップを目指していたためです。

次に、我々のソリューションが海外でも役に立てると確信できたことです。海外の複数社にインタビューをする中で、建設業の施工現場における課題が日本のお客様と非常に似ていることが明らかになってきました。

もうひとつの理由は、ASEAN諸国の急速な経済の伸びや人件費の高騰です。特にタイはDX化の波がきており、日本で準備し地盤を固めてから進出したのではタイのIT市場の成長に間に合わないだろう判断し、創業後すぐに海外展開を決めました。

 

1〜2ヶ月で導入が決定!? タイ市場の魅力とビジネス展開プロセスとは

― ASEANの中でも、タイを進出先に選んだ理由について、他にもございますか?

伊東さん: 
タイと日本では、ビジネスで使っているツールが類似していることが大きいです。日本特有なのはFAXくらいで、LINEやeメールなどがタイのビジネスシーンで活用されています。

例えばLINEは、皆さん個人アカウントを使用しています。そのため、現場の写真共有をLINEで行った場合、保存期限が切れると見返せなくなってしまう。保存期間も非常に短いです。LINEもメールも過去の情報を調べなおす際、やり取りを遡る手間などが発生します。資料等の添付共有も、どのタイムラインで共有したのか分からなくなり、何かと不便です。

さらに、途中から新規の方がプロジェクトに参加した場合、過去のやり取りや状況把握するには情報が混在しすぎて、情報のキャッチアップに苦労が生じます。こういった従来の情報共有の方法による、手間や情報漏れ、ミスといった課題は、日本にとどまらずタイも同様でした。

また、ASEANの中でもタイはGDPが大きいこと、先述したようにCEOの長濱がタイで働いていた経験もあり、現地のコネクションがあったのも理由です。

もう一つ欠かせないのは、ASEANや南アジア地域におけるビジネスの「ハブ」としての機能です。タイはマレーシアやインドネシアはもちろん、インドでも3〜5時間でアクセスすることができるのも魅力でした。


― タイ進出にあたって、どのようなプロセスでビジネス展開をしたのでしょうか?

伊東さん: 
まず「市場調査」を行いました。大手のタイ企業と日系企業のお客様にアポイントをとり、タイで使っているツールや課題のヒアリングをした上で、「KANNA」がどれくらい役に立つのか、競合が他にどのくらいあるのかを把握しました。

タイでの「KANNA」のビジネス展開の可能性が見えたところで、大手企業を中心に営業をしていこうと考えたんです。

タイへの進出に向けてBigbeat Bangkokの運営するICHI mediaにご相談をさせて頂きました。特にタイのIT系展示会のDigiTech ASEAN Thailand(以下、DigiTech)での出展では大きな成果がありました。このDigiTechがきっかけで、タイの上場企業であるThai Solar Energy社の受注が決まったことは、アルダグラム社にとって「タイでも我々の製品が役に立てる」という自信につながりました。


Digitech ASEAN Thailand 2022のブース

その後もローカルの大手企業に「KANNA」を導入いただけるケースが何件もつづき、タイでも価値提供ができると確信しました。こうしたプロセスを経てタイ語を話せるローカル人材の必要性を感じ、今年6月に、バンコクに現地駐在員事務所を設立、同時にタイ人の現地採用をはじめ、現在に至ります。

 

限られたリソースで成果を!ICHIパビリオンを活用した出展戦略でローカル企業との関係構築

 ― ICHI mediaを活用いただくことになった経緯をお聞かせいただけますでしょうか?

伊東さん: 
お問い合わせフォームで連絡をしたのが最初だったかと思います。当時は、海外展開をしたいとは思っていましたが、当然、タイでの実績もなく、どのようにしていこうか考えてました。


― その後、ICHI mediaを通じて、タイ進出についてのご相談をされたかと思いますが、その際はどのような期待がありましたか?

伊東さん: 
ICHI mediaは、タイのIT分野、デジタルテクノロジー関連の情報を多く持っていましたので、まずは、このメディアでのアルダグラムの紹介ページを用意してもらい、タイでの販売パートナーとのビジネスマッチングのお願いをしました。
数社の販売パートナーとの面談を通じて、タイにおける「KANNA」の新しい市場の可能性など多くのヒントもありました。

また、DigiTechがタイでDXやデジタルを推進するビジネスパーソンが多く訪れる展示会であること、そしてICHI mediaがDigiTechの中で「ICHIパビリオン」を計画していたこともあり、そちらへの参加を決めることができました。

海外の展示会への出展は初めてだったため、正直うまくいくか不安がありましたが、Bigbeat Bangkokさんの提案してくださった企画は、初めて出展する企業にとっても手を出しやすい内容でした。

結果としては、日系企業やタイのローカル企業含め相当な数の商談につながり、出展して良かったと思います。


―「初めてでも出展しやすい」という点について、詳しくお話を聞かせてもらえますか。

伊東さん: 
前提として、DigiTechの出展企画は自社単独の出展ではなく、「ICHI media」のブースの中に「アルダグラム社」のブースを出展するパビリオン型のブースになります。

そのため、当時は市場への製品や自社の露出はほとんどない状態でしたが、会場の入り口すぐにブースの拠点を構えていただいたり、メインステージでのプレゼンの機会をいただいたり、「ICHI media」のブランドを借りて幅広い来場者にリーチがすることができました。


DigiTech ASEAN Thailand 2022 メインステージでのプレゼン時の様子

また、アルダグラム側から参加したスタッフは3名ほどだったのですが、その人数でも回せるブース規模だったのも良かったです。他にも、人的リソースも展示会でのノウハウが限られている中で、優秀な2名のコンパニオン、通訳、リーフレット作成手配などのサポートをしていただけました。多くのスタートアップ企業は、海外での展示会に割けるリソースも限られていると思うので、そうした制約を踏まえて手厚いサポートをいただけたのはありがたかったですね。


― ありがとうございます。他にも、ブース盛況の要因の1つに「KANNA」のタイ語版を昨年のDigiTechでリリースされたことも挙げられると思います。

伊東さん:
はい、エンジニアが頑張ってくれて、DigiTechの1週間前にリリースができました。振り返ってみると、展示会でタイ語版の紹介を間に合わせられたことはとても良かったと思います。もし英語版であったら、タイのお客様にとって「KANNA」が「外国の製品」と思われていたかもしれません。

ここまでタイ語版の開発を急いだのは、タイの大手企業からヒアリングをした時に「DigiTechでタイ語版を見てみたい」という声が複数あったからです。そのため、DigiTech前のタイミングでのタイ語版リリースという意思決定を行いました。また、今年10月にベトナム語版もリリースし、ベトナムでの販売も開始しました。

 

ノンデスクワーク業界へビジネス拡張をーー未来への展望と、パートナーとしてのICHIに寄せる期待

― 最後に、今後の御社の展望やICHIへ寄せる期待について、メッセージをお願いします。

伊東さん:
まずは展望について、これまでは建設業が中心でしたが、ノンデスクワーク業界向けにサービス展開を拡張できればと考えております。近日、製造業でも活用できる新製品のリリースも予定しています。またタイにおいては、製造業・建設業をはじめ、より広い業界の皆様にお役立ちできるよう、営業体制やカスタマー体制をさらに整えてまいります。


アルダグラム社 タイオフィス (左)ハロウィンの様子、(右)展示会出展の様子

ICHI mediaからは、いくつかの引き合いもあるようですので、引き続き情報共有を頂ければ助かります。また、我々のような日本の建設業や製造業向けのSaaSをどう普及していくかについて、パートナーとして対話できる関係をこれからも継続いただけたらありがたいです。




 

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