既存システムの連携と誰でも使えるシステムでKintoneが目指す、タイのデジタル化 | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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既存システムの連携と誰でも使えるシステムでKintoneが目指す、タイのデジタル化

タイ特有の業務プロセスや既存システムに外国製のデジタルツールが適合できず、デジタル化の進展を阻んでいます。Kintone (Thailand) Co., Ltd.がタイで提供する「Kintone」 は、プログラミングの知識がなくても直感的な操作で業務システムを構築でき、既存システムとの連携も容易に行えます。デジタル化が求められる東南アジア諸国への展開を進める同社は、2024年3月にタイに現地法人を設立しした。この動きについて、同社のNamya(ナミヤ)氏に話を聞きました。 



Kintone (Thailand) Co., Ltd.
Managing Director
Wayuparb Namya 氏


 

ローコード・ノーコードの業務改善ツール「Kintone」 

― 貴社のサービス概要についてお聞かせください。 

Kintoneは、プログラミングの知識がない人でも簡単に業務システムやワークフローシステムを構築できるローコード・ノーコードの業務改善ツールです。ユーザーは、必要な業務アプリのテンプレートをカスタマイズするだけで、業務の流れを変えずにデジタル化を実現できます。実際にKintoneを利用するユーザーの9割は、非IT人材です。 

また、日報や顧客情報、在庫情報といった業務に関わるあらゆるデータをKintone上で管理し、グラフ化することが可能で、これらの情報にはインターネットに接続したスマホやタブレットから、いつでもどこでもアクセスできます。 全世界で3万社以上、東南アジアでは1,000社以上の企業がKintoneを導入しており、製造業の企業にも多く利用されています。 
 

― Kintoneはタイでどのような使われ方をしていますか。 

タイでのKintoneの活用方法としては、日本企業でもよく使われている営業管理システムに加え、購買管理システムとして利用している企業が多いです。購買のワークフローは、申請にはじまり、発注書の作成と承認を経て完了しますが、紙やエクセルでワークフローを進めるには時間と労力を要します。一方で、Kintoneを使用する場合、各アプリを連携させてワークフローを構築できるため、ベンダーのデータベースから情報を取得するだけで、申請から承認までのフローが迅速に完了します。  


https://www.kintone.com/en-sea/
 

海外製のデジタルツールではタイ特有の要件を満たせない 

― なぜKintoneはタイで支持されているのでしょうか。  

タイには購買管理をはじめ、特有のさまざまなワークフローが存在します。こうしたワークフローに合わせて柔軟にシステムを構築できることが、一番の理由です。Kintoneは、オープンAPIを通じてタイ国内の既存システムとの連携ができます。タイで開発された基幹システムや会計システムとの連携は、現地でのデジタル化を推進する上で欠かせない要素です。Kintoneの柔軟な開発・カスタマイズ機能が、既存システムとのスムーズな連携を実現し、デジタル化の加速に貢献しています。 

 
― 現地での導入事例をお聞かせください。 

コピー機やプリンター、プロジェクターの販売およびリース事業を展開しているFRIEND OA CENTER CO., LTD.という会社が約1年半前にKintoneを導入しました。以降、営業担当者1人当たりの月間売上が9万バーツから20万バーツまで増加することに成功しています。

導入前は、紙やメール、LINEなど様々なツールを使ったメンバー間のコミュニケーションで、「タイムリーに反応できない」「お客様との交渉で、適切な判断ができない」といった課題が生じていたそうです。Kintoneで営業管理システムを構築したことで、営業管理システム上にやり取りが集約され、タイムリーで適切なコミュニケーションを実現が実現されました。 
 

https://www.kintone.com/en-sea/customer-stories/friend-oa-center-co-ltd/


― タイにおける業務効率化の課題はありますか。 

 タイの企業が直面している課題は、タイ特有の業務プロセスや既存システムに適合するデジタルツールが不足していることです。多くの企業が業務効率化を目指してデジタルツールの導入に積極的ですが、海外製のツールでは要件を満たせないことがしばしばあります。 

大企業は自社開発を選ぶこともできますが、開発やメンテナンスに膨大な時間と費用が必要です。一方で、中小企業には開発できるIT人材が不足しており、仮にいたとしても大規模な開発プロジェクトを手掛けることは難しいのが現状です。 

こうした課題に対し、Kintoneはノーコード・ローコードであるからこそ、要件を満たす業務システムを低コストかつ迅速に開発することができます。また、ミニマム5ユーザーから契約ができ、その後は1ユーザー単位で追加できるため、中小企業でも導入を容易に検討できる点も魅力です。 

 

タイ現地法人を設立。Kintoneエコシステムの拡大を目指す 

― 2024年3月にKintone (Thailand) Co., Ltd.を現地法人化されたのには、どのような背景があったのでしょうか。 

一昨年に東南アジア法人をマレーシアで設立したのに続き、成長著しいタイ市場において、さらなるマーケティング活動やサポート体制を行える組織を作るために設立しました。

これまでの駐在員事務所を通じた活動では、現地の人材採用やチームの拡大に限界があり、外部パートナーに対する弊社のサポートが限られることもありました。そこで現地法人を設けて人員を増やすことにより、外部パートナーとの連携を強化し、お客様のニーズに対して柔軟に対応できる体制を築いていきます。今後人員が増えてきた際に、タイ国内にカスタマーサポートセンターを開設することも視野に入れています。 

 また、日本ではユーザー向けにKintoneのナレッジを共有するイベントやコミュニティも存在しますが、こちらは段階を追って検討していきます。まずは体制の強化に注力し、いずれはタイでも同様に実現していきたいです。 

 
― 今後の展望についてお聞かせください。 

私たちは、Kintoneを中心にしたエコシステムをタイで拡大していきたいと考えています。

製品だけでなく、拡張機能やカスタマイズ開発を通じて業務改善の可能性を広げることが重要ですが、これらを実現するには現場のリソースだけでは不十分な場合があります。そこで、連携サービスや外部パートナーを含めたエコシステム全体で価値を提供することが、Kintoneの価値を最大限に引き出す鍵です。タイでこのようなKintoneエコシステムを築くことが、私たちのビジョンです。 
 
また、「タイのために作られたツールがない」、「デジタル化したいけど、どこからすればよいか分からない」などの課題を持つお客様に寄り添って支援をして、「Kintoneがあれば業務改善やデジタル化が実現できる」と思ってもらえるようにシステムを作っていきます。 

さらに、東南アジア全体の視点からも、地域間の連携を深めていくことを目指しています。東南アジアの中では、デジタル化の市場ニーズが高いタイ、マレーシア、シンガポール、加えてフィリピンに注力してKintoneを広げていく予定です。その中で、各国の企業へのサービス提供にKintoneを活用し、地域間での生産拠点を持つ企業の連携にも役立てることができると考えています。

Kintoneを通じて東南アジア各地でのビジネスの可能性を広げ、より強固な連携と成長を促進していきます。 

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