タイは「人」がいい。何があっても楽しむ気持ちが人生に彩りをもたらす|Retty株式会社 外村 璃絵 さん | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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タイは「人」がいい。何があっても楽しむ気持ちが人生に彩りをもたらす|Retty株式会社 外村 璃絵 さん

2011年に日本でサービスを開始した口コミグルメサイト「Retty」は、2018年からタイへの展開をスタートしました。そのタイ事業の責任者として抜擢されたのが、学生時代から長期インターン生としてRettyの事業に携わり、卒業後の2016年に正社員として入社した外村 璃絵 さんでした。外村さんの努力が実を結び、Rettyタイ版は2021年3月に月間利用者数100万人を突破しました。現在も、現地スタッフ約10名と共に、ユーザーグロースを率いる外村さんに、タイの魅力やご自身のマインドについて伺いました。
 

ちょっと出張に行く感覚で海外事業をスタート

入社2年目で、タイ事業の担当という重責を担った外村さんですが、突然海外に行くことになったことに対して周りの反応や自身の葛藤はありましたか?

外村さん:
正直に言うと、葛藤などは本当にありませんでした。
自分の中では、「ちょっと出張に行ってきます」という感覚だったので。家族にも、普段からあまり仕事の話はしないので、周りからしたら「いつの間にかタイで暮らしていた!」という感じだったと思います(笑)
Rettyはスタートアップ企業ですし、タイへの進出も非常にスモールスタートだったので、予算はあまりかけずに勝ち節があるかどうかを見極める時間が長かったと思います。それもあり、大々的な海外展開というよりも、とりあえずまずは現地に行ってみよう!という要素が強かったと思います。なので、葛藤とかはなく、気がついたらタイに駐在していた、といった感覚でした。



Retty株式会社 Retty Thailand事業責任者 外村 璃絵 さん

タイが選ばれた理由はどこにあったのでしょうか。外村さん自身は、タイなどASEANへの渡航経験とかあったのでしょうか。

外村さん:
会社として東南アジアを中心にいくつかの国を調査した結果、タイが当社のサービスに合うだろうとの会社の判断でした。私自身は、アイルランドに半年ほど留学していた経験はありましたが、東南アジアへの渡航経験はほとんどなく、幼少期に家族でバリ島に行ったくらいでした。それでも私がタイに行くことになったのは、日本のRettyで身近にユーザーの方と接する経験を多くしており、また新卒2年目で、右も左もわからない、若さと無知ゆえの強みがあったからだと思います。

海外に進出しようとする企業の多くは、ベテランの社員を現地に投入しようと考えますが、外村さんの抜擢は、その反対の経営判断だったということでしょうか。

外村さん:
個人的には、人手が足りなかったのだと思っています。(笑)
ただ、弊社の代表が「無知ほど強いものはない」と言っていたことがありその言葉をよく覚えています。おそらく、新卒から間もなくて、右も左もわからない私の方が、先入観なく問題を突破していく力があると、判断してもらえたのだと思います。若くて経験がなくてもポテンシャルだけで飛び込ませてくれる環境だったというのはすごく幸いでした。
 

まわりを気にしない体当たりの挑戦が嬉しい涙につながる

手探りでタイでのビジネスをかたち作っていく中で、参考にした人物や目標とされるビジネスモデルなどはありましたか?

外村さん:
正直参考にできるものはほとんどありませんでした。そもそも、日本からコンシューマ向けのサービスで、海外でうまくいっている企業がなかなか存在しないので、本当に限られた事例しか知りません。なので日本のBtoCサービスを展開するのはかなり大きな挑戦だなと考えていました。

タイ進出をしていく中で、最も泣いたこと/笑ったこと/困ったことはそれぞれどんなことですか?

外村さん:
泣いた思い出は二回あります。一回目は、サービスを使っている人がゼロからスタートして、一年目の記念日を迎えたときのユーザーイベントした。会場に50人くらいのタイ人が集まってくれた光景を目にしたときは、けっこう大泣きしました。大きな感動があり、一緒にそこまで走ってきた現地のパートナーと二人でもらい泣きしていました。

1周年記念イベント時の様子

二回目は、二周年記念の時ですね。最後の挨拶で感極まってしまいました。最初はたった一人ではじめて、一年たったら一緒にサービスを伸ばしていく仲間がいる状態になっていて、ちゃんと使って応援してくれるユーザーの方がたくさんいて、サービスが伸びているのを目の当たりにすると、やってきて良かったなと思います。その感動は、働いてきた中で経験する最高の瞬間のひとつだと思います。。


2周年イベント時の挨拶の様子


なるほど、うれし涙というのは、仕事のやりがいとしても、最高の体験ですね。ちなみに、笑ったことはどんな思い出がありますか。

外村さん:
日々、笑っています!!(笑)
タイ人のスタッフが面白いので、友達みたいな感じの楽しさとか。あとはサービスを使っているユーザーの方が、こんなに応援してくれているんだ、という思いを感じると、嬉しくていつも笑ってしまいます。

それは羨ましい環境ですね。その反対に、困ったことはありましたか。

外村さん:
実は困ったことはあんまりないんです。
一番困ったことは、ビザの問題だったかも知れません。(笑)
ビジネスのトラブルや問題は、困ったこととは思わないです。常に何かしら問題は起こるけど、困るほどではないです。事業としてのノルマやKPIはありますが、それがプレッシャーになることもないです。本社ととても意思疎通がとれているので、なんでこうなったのか、原因を理解しているか、次につなげられるのかを考えて報告しています。
そもそも、何が成功なのか、何がいいのかわからずに飛び込んできたので、ほとんどがうまくいかないことの連続です。なので、しょげててもしょうがないので、困ったと思わないで開発やマーケティング活動に取り組んでいます。
 

ASEANマーケットへの挑戦を通して、ご自身はどのように成長されたと感じていらっしゃいますか?また挑戦の前後でなにか心境などの変化はありましたか?

外村さん:
以前より物怖じしなくなりました。
サービス開発やユーザーグロース、チームマネジメント以外にも、現地事務所の運営といった経験はついたと感じています。もともと0から事業を前に進めることが好きなんだと思います。学生時代は、中高大の一貫校だったので、受験勉強などの経験はなく、自由気ままに過ごしてきました。ただ、中学三年のころから、ビジネスに興味を持つようになりました。そこで、京セラを創業した稲盛さんの本とか読み漁って、高校のときにはビジネスアイデアのコンテストで入賞もしました。そして、高校三年のときには、働きたい会社と出会える自分になろうと決めていました。自分を活かせるところや伸ばせるところを探していて、いまの会社に巡り合えました。

時間を巻き戻してもう一度ゼロからチャレンジするとしたら、どんなサポート、どんな環境があるとよいですか?またこんなことをしたらよかった、など振り返って思うことはありますか?

外村さん:
昔から、どこにいっても飄々とやっていく性格なので、同じ道を歩むと思います。

ずばり、ASEANビジネスを邁進していく中で最も大切なことは?

外村さん:
突破力ですね。問題を問題と捉えずに解決していく、クリアしていく気持ちやマインドがとても大切です。
もうひとつは、現地のメンバーです。非常に大事です。チームがなければ、何もできません。いいチームと突破していくマインド、この二つが大切だと思います。

これからASEANマーケットに挑戦しようと考えている日本のビジネスリーダーや企業の担当者に向けて、心がけることなどあれば、教えてください。

外村さん:
楽しむことかなと思います。
問題が起これば、それが人生に彩を添えてくれます。私自身が、問題が起こればわくわくするタイプなので、そういうマインドを大事にしています。

反対に、外村さんのようなマインドを持った人をASEANに送り出す上司や経営者に求められる心構えなどはありますか。

外村さん:
細かいことは言わずに、どんと構えてシンプルに信じる気持ちがあるといいですね。私自身も、タイでの事業で代表から何か言われたことがなく、きっとあまり細かいことは気にせずに信頼してくれているんだろう、と勝手に思っています(笑)
最終的な意思決定で反対されたこともありません。

ASEANの魅力をひとことで表現するとしたら、どのような言葉を思いつきますか。

外村さん:
「人」です。タイは、本当に人がいいです。明るく楽観主義で一緒に働いていて楽しいです。

現地社員にサプライズで誕生日を祝ってもらったとき

タイの人と聞くと、女性がものすごく働く国という印象がありますが、日本との違いは感じますか。

外村さん:
女性だからというのは特になくて、平等だと感じます。ただ確かに女性の方が有利かもしれません。タイで働く女性は、キャリアを積んできた自信があるから、男性にもひけをとらずに働いていると感じます。



終始素敵な笑顔で楽しそうに自らのビジネスを語ってくださった外村さん。
困難さえも楽しんでしまう明るく前向きな性格とその笑顔が、タイの人々に愛され、ビジネスを成功に導いているのだと強く感じたピリピリ編集部でした。

 

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