タイのスタートアップが集う!Techsauce Global Summit 2022レポート | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
Thailand タイ

タイのスタートアップが集う!Techsauce Global Summit 2022レポート

Techsauce Global Summit 2022(以下、TSGS 2022)、タイで開催されるタイ国内最大級のスタートアップ向けのイベントで、今年は2022年8月26日(金)~8月27日(土)にThe ICONSIAM(アイコンサイアム)で開催されました。主催はタイのテクノロジー、ビジネスに関する情報メディアを運営するTECHSAUCEになります。


TSGS 2022 メインビジュアル:https://summit.techsauce.co/

2012年に初開催し、2019年までは毎年開催されており、過去には日本でもサテライトイベントが開催されるなど、その規模はタイ国内に留まらず、東アジア全域に拡大しました。しかし、コロナ禍の影響で2019年を最後に開催には至らず、今回3年ぶりに開催が決定しました。

例年、本イベントの参加者はタイ国内の有力なスタートアップ企業、ベンチャーキャピタルや、財閥などの大手企業も参加しています。しかし、コロナ禍の影響は避けられず、タイへの入国制限は既に解除されていましたが、例年に比べて出展企業は大幅に減少、やや規模は縮小された形での開催となりました。

全体来場者数:15,000人
スタートアップ:1,500社以上参加
投資家:400人以上参加
*2019年度開催結果


また、本イベントは展示だけでなく、「カンファレンス/セミナー」「ビジネスマッチング」「ワークショップ」「ネットワーキングパーティ」「授賞式」なども同時に開催されており、特に、「カンファレンス/セミナー」は、タイ国内外から300人を超える、世界でも活躍するスピーカーが登壇しました。扱うテーマも非常に多岐にわたり、HealthTech、FoodTech、AgriTech、FinTech、メタバース、Web 3.0 など、次の時代のビジネスチャンスを生み出すトピックについての知識を得る場所として、参加者の注目を集めました。

イベントで開催された講演の内容については、主催企業が運営するTECHSAUCEレポート記事(タイ語、英語)が掲載されています。

 

「TSGS 2022」から見えたタイのデジタルトレンドとは

「TSGS 2022」では、毎年注目のデジタルトレンドが発表されます。今回、主催者から発表されたのは「Fintech」「DEEP TECH(深層学習)」「NFT」「AI」「メタバース」「スマートシティ」などが挙げられました。実際、出展している企業のサービス内容もテーマに関連しているものが多く、多くのプレイヤーが上記のテーマの市場に参入しているようです。以下は、主催者による今回の出展企業のジャンル別の分類です。

・ブロックチェーン…8社
・Fintech & insurance…16社
・Food/Agri/biotech…5社
・Health care…6社
・Lifestyle/commerce/education…10社
・Living tech…3社
・Marketing/digital services/business solutions…58社
・Music/ Entertainment/Sport…2社
・Others…36社
・Transportation & automobile…11社
・Traveling & hospitality…3社


出展企業合計…158社
出典:https://summit.techsauce.co/exhibitor/

ジャンル別としては、「Marketing/digital services/business solutions」が最も多く出展されており、次点で「Fintech & insurance(フィンテック&保険)」の領域が多く出展されていました。主催者側の独自の分類によるものなので、一概には言えませんが、出展企業の数から、タイのスタートアップ市場では、「Marketing/digital services/business solutions」「Fintech & insurance」が特に注目されている領域であることが推測されます。

特に注目を集めていたのは、SCGブースです。SCG(= サイアム・セメント・グループ)はタイでも有数の巨大企業で、セメント、石油化学、パッケージングを中心とした事業を運営しています。今回のブースでは、従来の事業の紹介ではなく、VR、ビジネス用AIを駆使したロボット、ドローンなど最先端テクノロジーを駆使した新たな製品が紹介されました。


出典:https://thailand.postsen.com/business/40584/SCG-invites-you-to-experience-cutting-edge-technology-Innovations-for-Better-Quality-of-Life-in-Techsauce-Global-Summit-2022-26-27-Aug-22.html

日本では見られない、派手な演出の数々

また、本イベントは日本のスタートアップ向けイベントと比べても、非常に派手な演出が多く施されていました。

開催場所からも、本イベントの独特な雰囲気が伝わります。今回、「TSGS 2022」が開催されるのは、「アイコンサイアム」という商業施設の上層階に位置する会場になります。こちらの商業施設は2018年にオープンした施設で、日本でもお馴染みの「高島屋」も入居しています。こうした商業施設内で、スタートアップイベントが開催されることは、日本では珍しくあります。


出典:https://www.thailandtravel.or.jp/iconsiam/

会場内の装飾も日本では見られないような派手なものでした。入り口に到着して、最初に目に付くのは巨大な壁面から「TSGS」の文字をくり抜いた巨大なオブジェです。その左右に本イベントのロゴが貼り付けており、来場者も思わず写真を撮影したくなるほど立派なものでした。



イベント会場は、タイのローカルスタートアップを中心に小さなブースが集まるゾーン(画像下部)と、タイ国外の企業やJETROも出展している奥側のゾーン(画像上部)に分かれています。



奥側のゾーンでは、巨大な装飾とともに、タイの大手企業や各国のブースが出展されていました。出展国としては日本、香港、ポーランドの3カ国のみで、近年、積極的にASEANに進出している韓国のブースは見当たりませんでした。

その他の演出としては、ドローンを飛行させ、リアルタイムで会場のモニターにドローンから収録した映像を配信しており、イベントを盛り上げました。イベントの最後にはアフターパーティも開催され、DJが参加して、さながらクラブのような盛り上がりを見せ、日本国内では見られないような、煌びやかなイベントとなっていました。
本メディアを運営するビッグビートのタイメンバーによるイベントレポート動画(タイ語)もございますので、よろしければご覧ください。
 



 

出展した日系企業のご紹介

ここからは、TSGS 2022 にて、 JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)のJ-Startup パビリオンとして出展していた、スタートアップ企業をご紹介いたします。 

■株式会社アジラ (Asilla, Inc.) 

施設向けAI警備システム「アジラ」は、既存の防犯カメラシステムに「AI警備」の仕組みをアドオンすることで、施設を24時間監視しながら、異常行動を検知した際の即時通知で、事件事故への迅速な対応を実現します。映像や静止画像からAIが自動的に人物の関節点を検出しリアルタイムに「複数の人物の姿勢を推定」する姿勢推定アルゴリズム「AsillaPose」を開発。 
 
https://www.asilla.jp/solutions/ 


■ UPWARD株式会社

「UPWARD」は高度な位置情報技術を活かし、営業活動データを自動でCRMに検知・記録し、現場の営業担当者の営業活動を最大化するセールスエンゲージメントサービスです。蓄積した営業活動データとCRMデータを地図上に自動で重ね合わせ、最適なアプローチ先を自動通知することで、CRMデータを活用した戦略的な営業計画の策定を支援します。 

https://www.upward.jp/


■クレジットエンジン株式会社

オンライン融資プラットフォーム『Credit Engine Platform』は、自社のオンライン融資サービスを一気に構築でき、実業務に合わせ、効率的な管理を行います。申込から債権回収までワンストップで提供し、関連法へも準拠。  オンラインレンディングサービス『LENDY』をはじめ、大手金融機関のサービスに採用された実績を持ちます。 

https://creditengine.jp/

 
■Zenihub

ブロックチェーン技術を活用し、改ざん不可能な記録媒体で所有権を管理。 従来の不動産取引のような膨大な書類の手続きを不要とし、低コストの取引を実現します。 ブロックチェーンを活用することにより、国境を超えるような取引の手続きを簡略化し、不動産の小口化のみならずDeFi(分散型フイナンス)を活用してレバレッジをかけられる仕組みも提供。 

https://creww.me/ja/startup/zenihub 
 

■ソラミツ株式会社

ブロックチェーンの技術開発、デジタル資産管理、アイデンティティ、 トレーサビリティに関するソリューションを開発・提供するフィンテック企業。これまでにブロックチェーン技術を活用し、会津大学のデジタル地域通貨、 カンボジア国立銀行の中央銀行デジタル通貨、モスクワ証券取引所グループの証券保管振替システム、インドネシアBCA銀行の本人確認システムなどを開発。 

https://soramitsu.co.jp/ja


■Desume

専任コンシェルジュがWEB3の専門家や仲間とのマッチングをサポート。 ポートフォリオサービス「Desume」を活用し、他媒体では見つからないWEB3の専門家や仲間とのマッチングを支援します。 アクセスしづらい一次情報を持った人材に直接依頼出来ることで、WEB3事業の立上げ、仮説検証、市場調査を円滑に行うことを可能に。 

https://www.concierge.desume.jp/


■PEEL LAB K.K.

動物虐待の防止、地球温暖化の防止、廃棄予定の食品を新しいモノに作り替えるなど、自然環境や社会へ配慮をビジョンに活動する東京を拠点のB2Bスタートアップ企業。自然由来の素材からエシカルな製造過程で、ジュース工場の果物の皮でヴィーガンでかつ持続可能な新しい種類の革を作成。皮革の代替品であるだけでなく、地球に影響を与える廃棄物、排出物、その他の汚染物質を削減することで、自然環境や社会へ貢献。 

https://www.peel-lab.com/ja 


■レイ・フロンティア株式会社/Rei Frontier,Inc

人工知能による位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を開発・運営をベースに、以下の5つのサービスを提供する。
1)レイ・フロンティア株式会社が保有するデータの統計結果、AI分析推測結果の提供 
2)行動データの収集手段(SDK)と、分析基盤一式および定期レポートの提供 
3)位置情報分析技術による、既存のGPSデータの可視化と行動分析支援の提供 
4)弊社アプリ(SilentLog等)を活用した行動分析、および実証実験支援の提供 
5)行動データを活用した新規サービス、事業開発 

https://www.rei-frontier.jp/

※五十音順 


今回の「TSGS 2022」では、日系企業として単独出展する企業は見られませんでした。本メディアを運営するビッグビートではICHIという、タイのビジネスマンに日本のITソリューションを紹介するメディアを運営しております。
そのため、次回以降のTSGSには、ICHIを通じて日本のスタートアップがTSGSに出展し、日本のITソリューションが多くのタイ人から歓迎されるようなシーンが見れることを楽しみに、再び参加できればと思います。


 

関連記事