2025年以降ベトナムで開催される製造業・エネルギー関連の展示会の数々。今回は、専門展示会を紹介する。
【専門展示会】
■Contech Vietnam 2025
期間:2025年4月22日~25日
開催地:首都ハノイ市
会場:National Exhibition Construction Center (NECC)
URL:https://contechvietnam.com/
取扱品目:建設機械・設備・工具・資材・建設システム、建設現場における設置サービス、エンジニアリングプロセス制御および測定システム、コンサルティングおよび監視サービス、防火・消火設備システム、原材料および鉱山採掘機械・原材料輸送、システム自動化の技術とソリューション提供、産業用電気機器および製品、発電所廃棄物処理など
概要:建設、鉱業、輸送に関する国際展示会。機械、設備、技術、車両、資材をめぐって各種セミナーやカンファレンスなどを手掛ける現地企業Hanoi International Advertising and Fair Joint Stock Company (HADIFA)などが主催。旺盛な建設需要を背景に、25年の展示会で通算7回目を数える。ベトナム建築材料研究所 (VIBM)、ベトナム建築資材協会(VABM)、ベトナムコンクリート協会(VCA)、ベトナム鉱業科学技術協会(VSMTA)、ベトナム建設協会(VFCEA)などが協賛・後援を務める。
前回実績:出展者はベトナムのほか、日本、韓国、中国、マレーシア、シンガポール、スウェーデン、ドイツ、フランス、ロシア、アラブ首長国連邦、オーストラリアなどから約120企業・団体。総来場者数は各国から約5000人を見込む。
■VIETWATER 2025
期間:2025年11月5日~7日
開催地:南部ホーチミン市
会場:Saigon Exhibition and Convention Center (SECC)
URL:https://vietwater.com/
取扱品目:ポンプとバルブ、給水技術、グリーンテクノロジーと持続可能な水技術、汚泥処理技術、淡水化と脱水、水質検査と測定、膜・濾過、配管と給水設備、灌漑・下水道、廃水処理と管理など
概要:ベトナムの水環境をテーマに年に1度この時期に開催される国際展示会がVietwater。英国に本部を置く国際イベント企業インフォーマのベトナム拠点が主催者。2009年に始まり、今回が16回目。水処理技術、水道インフラの整備、持続可能な水管理、再エネを活用した持続可能な水管理などに焦点を当てたイベントで、世界の専門家や企業エンジニアらが集まって最新技術やソリューションを紹介する。廃棄物や環境技術に関するもう一つの大型展示会WETV Expo 2025も同じ日程で併催される。
前回実績:世界25カ国・地域から約450社・団体が出展。英国・オランダ・イタリア・ドイツ・韓国・シンガポール・中国・台湾などの10カ国・地域の国際パピリオンも開設された。総来場者は全世界から約1万4000人。
■Vietnam Water Week 2025
期間:2025年8月20日~22日
開催地:首都ハノイ市
会場:Viet Xo Friendship Labour Cultural Palace Hanoi
URL:https://vietnamwaterweek.vn/
取扱品目:上水道管理、廃水処理、気候変動ソリューションに関する水セミナーの実施、著名な給水・下水道施設の見学、安全で責任ある水の使用を促進する新しい技術や実践の紹介、水分野での協力を拡大するためのネットワーキングなど
概要:Vietnam Water Weekはベトナム上下水道協会が主催者となって、建設省や国家研究機関、地方自治体の協賛・後援を得て毎年開催されている水資源をめぐる国際展示会。24年は11月6日~8日の日程で行われたが、今年は2カ月半ほど前倒しとなる。水道事業のあり方や給排水事業などの検証・技術・ソリューション供与などが披露される。国際水協会や東南アジアの各国水機関との円卓会議も開催され、持続可能な水管理が議題として取り上げられる。
前回実績:日本、韓国、中国、タイ、シンガポール、インド、ドイツ、オランダ、ロシア、スペイン、フランス、オーストリアなど10を超える国と地域から150の企業・団体が約200のブースを出展。総来場者数は約1万1000人。このうち約2割が海外からの来場者。
■Vietnam Marine & Offshore Expo (VIMOX) 2025
期間:2025年11月19日~21日
開催地:南部ホーチミン市
会場:Saigon Exhibition and Convention Center (SECC)
URL:https://mtavietnam.com/
取扱品目:造船・海洋、オフショア支援・浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)、港湾・海運、漁船・トロール船、海軍・沿岸警備隊船舶
概要:ベトナムで唯一の造船・海事専門の国際展示会。23年に新規開設され、25年の開催で通算3回目。同じ場所と日時で、洋上風力発電などをテーマとした第2回Offshore Wind Vietnam Expo & Conference 2025も同時開催される。シンガポールの多国籍海事メディア企業Fireworks Trade Media Group 傘下のFireworks Trade Media Co., Ltdが主催。造船・海事業界の最新動向を求め、造船・海運、オフショア支援とFPSO、港湾管理、漁船管理、海軍・湾岸警備隊船舶関連の企業や団体がハノイに集結する。
前回実績:造船パビリオン、造船業者と船舶所有者とのネットワーキングランチ、造船所施設見学、海事会議、造船・海洋技術セミナーなど
■Vietnam Defence Expo 2026
期間:2026年12月下旬(見通し)
開催地:首都ハノイ市
会場:ザーラム軍民共用空港(予定)
URL:https://vietnamdefence.vdi.org.vn/
取扱品目:各種戦闘機・戦闘車両、武器、ドローン、防衛・通信機器、セキュリティ製品・技術・ソリューション及び関連情報の提供など
概要:30年までの近代的なベトナム人民軍樹立を防衛計画に定めるベトナム政府は、22年12月に初となる防衛・セキュリティ関連の専門国際展示会Vietnam Defence Expoを開催。24年の第2回は12月19日~22日の日程で開会された。式典ではファム・ミン・チン首相やファン・ヴァン・ザン国防相が登壇。隣国のカンボジアやラオス、タイの国防相らが参列した。2年に一度の開催を原則としており、次回開催は26年12月下旬の見込み。
前回実績:22年時の第1回では世界31カ国から175社・団体などが出展。6つの国際パビリオンが開設され、総来場者は2万5000人だった。ベトナム人民軍の設立80周年記念と重なった24年時第2回では、各国の防衛大臣や軍司令官ら140を超える国際代表団と350を超える国家の上級代表団が招待された。49か国から240社以上の防衛産業企業・団体が参加。4日間の総来場者数は35万7410人に達した。
■ProPack Vietnam 2025
期間:2025年3月18日~20日
開催地:南部ホーチミン市
会場:Saigon Exhibition and Convention Center (SECC)
URL:https://propakvietnam.com/
取扱品目:食品・飲料・医療品等の包装容器、印刷・ラベルなど技術供給、並びに持続可能なパッケージ生産に向けたロードマップと実践的ソリューションの提供
概要:英国に拠点を持つ国際的なイベント企業Informa Marketsのベトナム拠点の主催。25年で通算18回目を数える。食品や飲料、医療品・美容品等に特化した国際貿易展示会。包装や容器の提供に止まらず、印刷やラベル、生産時のネットゼロに向けた技術供与とソリューションの提案も特徴だ。同時期同会場で「Drink Tech 2025」も併催される。日本や欧米、世界各国の飲料メーカーらが来場する。
前回実績:世界30カ国・地域から340を超える企業・団体が出展。国際パビリオンも5カ所開設された。総来場者数も約9500人を記録。25年の開催では、出展企業・団体数450以上、総来場者数1万1000人以上が見込まれている。
■Plastech Vietnam 2025
期間:2025年6月25日~27日
開催地:南部ホーチミン市
会場:Saigon Exhibition and Convention Center (SECC)
URL:https://www.plastech-expo.com/
取扱品目:プラスチック製品生産にかかる添加剤・接着剤・粘着剤、補助・再生装置、射出成形機・ブロー成形機プレス、材料配合・コンパウンド、測定・制御・試験装置、金型・ダイカスト、部品・コンポーネント、包装機器・用品、塗料・樹脂、後加工機、安定剤・中間材、半製品、補強繊維・材料、ゴム・合成繊維、前処理・リサイクル、R&Dなど
概要:プラスチック産業の機械、設備、技術、材料に関する国際展示会で、主催はベトナム企業のMinh Vi Exhibition and Advertisement Services Co., Ltd. (VEAS)。2007年設立の同社は、これまでタイ、ミャンマー、カンボジアなどで事業を拡大。主にBtoBビジネスマッチングに注力してきた。20年にPlastech Vietnamを興し今回が6回目。国際的なプラスチック製品の生産者および加工業者に対し貿易の機会と市場動向の提供を行う。紙パルプ産業をテーマとした第12回Paper Vietnam 2025、塗料・印刷産業の第10回Coatings Expo Vietnam 2025、ゴム・タイヤ産業の第11回Rubber and Tyre Vietnam 2025と併催される。
前回実績:202年では、中国、インド、ベトナム、韓国、台湾、タイから約120社が出展。世界15カ国・地域から5000人以上が来場し、延べ1000以上のBtoBミーティングが実施された。
■ASEAN Wind Energy 2025(AWE 2025)
期間:2025年10月29日~30日
開催地:南部ホーチミン市
会場:The Adora Center HCMC
URL:未開設
取扱品目:SEP(自昇降式プラットフォーム)、海底ケーブル、海底調査、浮体式基礎、プロジェクトマネジメント・コンサルティング、洋上風力発電システム、O&M、保守サービス、ロープワーク、非破壊検査技術、遠隔監視システム、高所作業用機器。トルクレンチ、風力発電システム、大型風車、中型風車、風力発電所販売、設計ツール、風車導入コンサルティング、システム構成機器、ブレード、タワー、軸受・変圧器、潤滑油、駆動部、増速機など
概要:15年に豪州西部パースで設立し、香港に本社、ホーチミン市に地域オフィスを置くLeader Associatesが主催企業。ネットゼロを目指した風力発電・水素事業・炭素回収・持続可能な燃料作りをサポートするための国際展示会を、これまでに世界5大陸20カ国・地域以上で延べ150回以上開催してきた。2年に1回の開催。風力発電関連では、25年7月中旬に豪州メルボルンでの展示会開催も予定している。
■Cleanfact Vietnam2025
期間:2025年9月11日~13日
開催地:首都ハノイ市
会場:National Exhibition Construction Center (NECC)
URL:https://cleanfact.vn/
取扱品目:主に
半導体向けデバイスクリーンルーム、材料・クリーンルーム、クリーンルーム/ラボ機器および付属品、クリーンルームサポートサービスとソリューションの提供など。半導体生産及び活用にかかるカンファレンス・セミナー、専門家・業界リーダーによる講演・パネルディスカッション、持続可能な開発目標(SDGs)や環境政策・技術革新に関するネットワーキング、ワークショップ・フォーラムの提供も
概要:CleanFact2025は、最先端クリーンルーム技術やシステム技術を対象にした、ベトナム国内の環境改善をテーマにした展示会です。 昨年は、南部ホーチミンのSECCという展示会場にて開催されたが、今回は首都ハノイにあるICEにて開催される。「半導体生産」に必要なクリーンルーム技術などに特化。半導体・IT産業におけるハブ化も進める考え。当社ビッグビート日系企業販売代理契約(2024年締結済)。
前回実績:2024年開催では、14カ国・地域から189社・団体が出展。約400の展示ブースが開設され、ワークショップ・イベントも計11に上った。総来場者数は7269人。クリールームに特化することで新たな需要、関心の掘り起こしを目指す。
【展示会開催の背景】
■際立つベトナムの経済成長
アジア開発銀行(ADB)によると、東南アジア主要6カ国の24年GDP成長率は、ベトナムの前年同期比7.1%増(以下同)を筆頭に、フィリピンの5.6%、マレーシアの5.1%、インドネシアの5.0%、シンガポールの4.4%と続く。数年前までは5~6%以上の高い成長率を記録していたタイは2.5%と6カ国の中で最下位だった。
首位ベトナムの経済を牽引したのは自動車、二輪、家電などの製造業。輸出を中心に2位以下を1.5ポイント以上も引き離した。フィリピンも高成長を維持したものの個人消費が伸び悩み、政府が目標として定めた6%超を下回った。マレーシアは国内消費が回復し政府予想の4~5%を上回ったが、ベトナムには及ばなかった。インドネシアも前年から横ばいに止まった。
25年もこうした流れが続く見通しで、ADBの当初予測によると首位はベトナムの6.6%。次いでフィリピンの6.2%。以下、インドネシアの5.0%。マレーシアの4.6%などが続く。輸出や内需、観光業の回復に支えられて多くの国で堅調に推移するものと見られている。
こうした中、ベトナム経済についてファム・ミン・チン首相は、2月半ばの国会で45年までの高所得国入りを改めて表明。成長の背後にインフレ懸念があることは認めながらも、経済全体の底上げを優先するとした。25年のインフレ目標は4.5~5%に設定。ただし、1月単月のそれは前年同月比3.63%に止まっており、かなりの余地がある。社会資本への投資総額も当初計画より30億ドル多い1740億ドルに設定し、公共投資を積極的に進める。さらなる成長の足がかりとしたい考えだ。