文房具・オフィス用品に特化した「Viet Office 2025」は5月開催 「人材育成」や「教育」の需要高まる。ベトナム政府も後押し | ピリピリ 東南アジア進出をサポート!
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文房具・オフィス用品に特化した「Viet Office 2025」は5月開催
「人材育成」や「教育」の需要高まる。ベトナム政府も後押し

経済発展の続くベトナムで、「人材育成」や「教育」に対する関心が高まっている。産業の自動化や省人化が進む一方で、マネジメントや価値の判断といった人間にしかできない仕事や業務の多様化と増加が背景にある。政府も社会全体における人材育成や教育が欠かせないと後押し。こうした事態を受けて、首都ハノイでは2024年から教育製品すなわち文房具やオフィス用品、事務機器に特化した対事業者向け(B to B)国際展示会が開かれるようになった。その名も「Viet Office」。第2回目となる大会は5月21日~23日の日程で、ハノイ国際展示センター(ICE)を会場に開催される。

開催期間:2025年5月21日~23日    
会場:ハノイ国際展示センター(ICE)
出展企業数:約150ブース
来場者数:1万人


24年大会は6000人が来場

 ベトナム初となる文房具・オフィス用品市場の国際展示会「Viet Office 2024」は、24年5月22日~24日の3日間、同じICEで開催された。出展したのは米国や中国、インド、日本など主要な9カ国から100社・団体。4500平方メートルの展示会場には、総計150のブースが開設され、数百万点の品々が陳列された。企業や団体のバイヤーら世界各地からの来場者は総計約6000人。まだ知名度もなく事前広報が十分には行き渡らなかった初回開催でも、これだけの人々が来場したことに注目が集まった。
 展示会場は、大きく4つのエリアに区分された。1つ目は、筆記具やノートなどの紙類、学用品、画材といった人材育成や教育に直結する文房具のエリア。2つ目は、機能性事務机や椅子、パーテーションなどのオフィス用品エリア。3つ目が、多機能複合プリンターやコンピュータ及び周辺機器などスマートオフィスを実現させる事務機器エリア。そして4つ目が、事務用機能性バッグや卓上アクセサリー、企業向けギフトなどを扱うアクセサリー&ギフトのエリアだ。
 開催事務局によると、ベトナムにおけるこれら文房具類の市場は、22年時点で推定1億9535万米ドル(約300億円)に上っている。ここ数年は年平均で8.37%増加しているといい、今から5年後の29年には最低でも3億1641万ドルに達するものと予想されている。その後も、高い伸び率で推移するものと見られている。


人間しか持たない価値を判断する力

文房具やオフィス用品の需要がまず顕著となっているのが、企業や官公庁などの働く現場だ。製造業を中心にベトナムでも産業のスマート化が急速に進行しており、働く人の一人一人に求められる仕事や業務の質や内容にも変化が生じている。従来であれば、それぞれの持ち場において自分が任された仕事だけについて技術の習得や知識を広げていけばよかったものの、今や作業実務はロボットや機械にお任せとなり、人は新たな業務に就くことが求められるようになった。
その最たるものが、ロボットや機械ではできない事業全体や人間集団にかかるマネジメント、さらにはコーディネート、そして「美」や「生きがい」といった抽象概念に対する価値判断の分野だ。あらゆる事象を0か1かの信号で判断する人工知能(AI)などの機械と異なり、人間には定量化・数式化できないものについても対処できる曖昧だが特殊な判断能力がある。こうした分野にAIが入り込む余地は今のところまだないというのが大方の理解だ。
ただ、こうした価値判断を行う力も個人的な思い込みや好みに左右されることが多く、画一的で統一的な結果を導くためには、どうしてベースとなる学術的な知見が必要となる。そのために求められるのが、基礎学問に裏付けられた教育や訓練というわけだ。世界各国の名だたる文房具・オフィス用品のメーカーは、人間が効果的に能力を磨くことができるさまざまな製品を開発している。Viet Officeでも、こういった新製品が多数出展される。


人口減をきっかけに高まる教育需要

学校などの教育現場でも、最先端となる文房具や事務機器の需要は尽きない。逆説的ではあるが、その背景にあるのがベトナムでも進む少子化だ。06年に2.09だった1人のベトナム人女性が生涯に産む子供の数である出生率は、この年を境に減少を続け、23年には1.96と2を割り込むまでに。一般に出生率が2未満となると人口減が起こるとされており、ベトナムの人口も35年までには減少に転じることが確実視されている。
人口減が進行すれば当然に社会の担い手が不足する事態となり、それまで人の手が行っていたことを機械が代行していかなければならない。社会の省人化であり、スマート化だ。ただし、そのためには人が先端技術に慣れ、機械を自由自在に操作できることが求められるようになる。同時に、機械が担えないような価値判断を行っていく力量がすべての人々に今以上に求められてくる。
こうした未来社会に適合し、個人の持つ抽象的な力を引き上げていくために必要とされているのが、教育機会の提供であり教育現場の整備というわけだ。そこに先端技術を反映させた文房具や事務機器が浸透する余地が生まれる。また、教育の高度化は高学歴化も進行させる。これまで以上に学習の機会が増えるようになると、教育機関で使用される教育資材や学用品の市場も複雑化し広がりを見せるようになる。
 

来場者目標は1万人超

開催事務局は25年5月の第2回大会の目標入場者数を1万人超と置く。名の知られていない初回大会で6000人だったことから考えれば大きく出た数値と言えなくもない。だが、それもあながち的外れとは言えないだろう。というのも、中国・香港でも同種の文房具・事務用品を対象とした国際展示会が毎年開かれており、24年のそれに集まったのは全世界から1万4390人。25年はさらに拡大が見込まれているからだ。
年に1回定時開催されている香港国際文具・学用品フェア「Hong Kong International Stationery & Shool Supplies Fair」の25年大会は、1月6日から4日間の日程でHong Kong Convention & Exhibition Centerを会場に開かれる。前年は主要12の国と地域から151社・団体が出展。開催事務局は今回の総来場者を2万人超と見込んでいる。
香港貿易発展審議会が共同開催者となる同展示会も、出展の中心となるのは人材育成と教育の現場で使用される次世代の文房具や事務機器などだ。同様に人口減が続き、機械やAIが我々の暮らしに大きく入り込むことが確実視される中、求められるものは個々人のスキルアップと力量の拡大という考え方があるからだ。
ベトナム政府が、香港での同種展示会の成功を受け、自国での開催を決めたとは想像に難くない。今後の国内経済の成長を考えた時に、その決断に先見の明があったかどうかは、ひとえに次回Viet Office 2025の成否にかかっている。



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