ベトナムBtoBマーケティングの現在地。マーケターが知るべきベトナムのデジタル環境

ベトナムでは、政府がデジタル化を国家的な重点課題と位置付け、通信インフラの整備やスマートフォンの普及に注力しています。インターネットやSNSの高い利用率からBtoBマーケティングにおいてデジタル施策は欠かせません。この記事では、ベトナムでデジタルマーケティングを進めるために必要なインターネットやスマートフォン、検索エンジン、SNSの利用動向についてまとめています。

デジタル技術に関するベトナムの現状

ベトナムにおける2024年初頭のインターネット利用者数は、国民の79.1%に相当する7,844万人（総人口は9,919万人）で、高い普及率を誇ります。

スマートフォンの利用に関しては、特にSNSの割合が大きく、1日あたりの利用時間のうち約47%をSNSに費やしているという調査結果もあります。SNSの利用率は総人口の73.3%、18歳以上の人口では99.2%に相当しており、アクティブなSNSユーザー数は約7,270万人に上ります。

出典：DATAREPORTAL「デジタル 2024:ベトナム」

ベトナム政府はデジタル化を推進しており、「2030年に向けた2025年までの国家デジタル・トランスフォメーション計画（National Digital Transformation Program）」で、2025年までに光ファイバー網を全世帯の80%、全自治体で100%カバーし、国民の半数にキャッシュレス決済の利用を実現させるといった目標を掲げました。

また、2022年の首相決定では、GDPにおけるデジタル経済比率を2025年に20%、2030年に30%とする目標を設定。その実現に向けて、2025年までに成人の80%がスマートフォンを所有し、勤労年齢の70%以上がデジタルスキルを身に付けることを企図しています。

このように国を挙げてデジタル化を推進するベトナムにおいて、BtoBマーケティングを手掛ける際にはデジタルマーケティングの活用は必須条件です。そのためには、スマートフォンの利用動向を踏まえ、「SNS広告」や「スマホ最適化（レスポンシブ対応）」といった施策が重要だと考えられます。

ベトナムでのデジタルマーケティング事情（1）検索エンジン

ベトナムで最も利用されている検索エンジンは、Googleです。Googleが圧倒的な人気を誇る理由は、ビジネス用途でGmailが普及しており、Googleアカウントを持つユーザーが多数いるためです。

一方、ベトナム発の CocCoc（コックコック）も注目されています。複雑なベトナム語に対応した予測変換機能や高速ダウンロード機能の優れた使い勝手などから、Googleに次ぐ人気を獲得しています。

CocCocに続くのがMicrosoftのBingです。日本ほど知名度は高くありませんが、BingのAIチャットCopilot（コパイロット）を利用できるため、将来的にはCocCocと肩を並べる存在になるかもしれません。

ベトナムでのデジタルマーケティング事情（2）SNS

人気のSNSは、Facebook、Instagram、Zalo（ザロ）、TikTokなどが挙げられます。利用者数は2024年初頭でFacebook 7,270万人、Instagram 1,090万人、TikTok 6,772万人（18歳以上のユーザー）です。Zaloは2023年時点でアクティブユーザー数が7,500万人となっています。

Facebookは、実名登録が多く、居住地や職業などの属性情報を活用したターゲティング広告が有効です。Instagramは、ビジュアル性の高いコンテンツが適しており、インフルエンサーとのタイアップも可能です。

Zaloは、ベトナム発のSNSで、通信機能に加えてショッピングや支払いなど生活に密着したサービスを提供し、総人口の75%が利用しています。TikTokは、若年層を中心に人気の動画投稿アプリで、プロモーション機能を活用できます。

このようにベトナムではさまざまなSNSが浸透しており、用途に応じてSNSを使い分ける必要があります。SNS広告を通じて効果的にユーザーにリーチできる環境が整っていると言えるでしょう。