【2019年11月20日】公開
東南アジアの電力産業向け展示会、パワージェン・アジア(POWERGEN ASIA)2019で、個人情報取得用のバーコードリーダーを利用する機会がありました。
日本でもポピュラーな出展社向けのサービスですが、使い勝手の違いがあるのかなどを、レポートします。
目次
・パワージェン・アジアとは
・日本からの出展企業
・マレーシアで取得した個人情報の取り扱いについて弁護士に相談しました
・バーコードリーダーによる個人情報取得のしくみ
・バーコードリーダーを使ってみた感想
・まとめ
・パワージェン・アジア2020
パワージェン・アジア(POWERGEN ASIA)とは
パワージェン・アジアは、アジアにおける包括的な電力産業向けイベントです。
1992年の初開催以来、毎年、アジア各国・地域をめぐる形でおこなわれ、2019年はマレーシアで開かれました。
このイベントは、従来型の発電はもちろん、再生可能エネルギーやその他の低炭素オプションまで、あらゆる発電ソリューションを幅広くカバーしています。
また、展示会だけではなく、多彩な講演者によるセミナーやシンポジウムも多く催され、アジア全域から注目されています。
来場者はアジア各国・地域から訪れており、電力産業という非常にセグメントされた市場にもかかわらず、毎年1万人を超える関係者を集めています。
日本からの出展企業
パワージェン・アジアには、例年、日本からも多くの企業が出展しています。
マレーシアのクアラルンプールで開催された2019年には、IHI、カワサキ・ガスタービン・アジア、三菱電機、Sumitomo SHI FW、東芝プラントシステムなどが出展していました。
マレーシアで取得した個人情報の取り扱いについて弁護士に相談しました
パワージェン・アジア2019では、展示ブースの施工と運営をサポートしてきました。
クライアントの出展目的の1つに、セールスリード(来場者の個人情報)の取得があります。
しかし、昨今こうした個人情報の取り扱いについて、厳しくなっているのはご承知の通りです。
2018年5月に、EUでGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)が施工されました。
それに伴い、EU以外の国や地域でも、GDPRに準拠する動きがでてきています。
タイでは2019年5月にGDPR準拠のPDPA(Personal Data Protection Act:個人情報保護法)が施工されました。
マレーシアでは、2013年11月に、PDPA(Personal Data Protection Act 2010:個人情報保護法)が施工されています。
ところが、このような各国の実情は、日本ではなかなか知ることが難しいものです。
そのため、運営に先立ち、マレーシアで取得した個人情報の取り扱いについて、現地の法律事務所に確認しました。
法律事務所からの回答によると、2019年9月の時点では、マレーシアの展示会で個人情報を取得する際には、利用目的を明確にしておけば国外に移転しても問題ないとのことでした。
バーコードリーダーによる個人情報取得のしくみ
では、バーコードリーダーによる個人情報取得のしくみをみてみましょう。
日本の展示会でもかなり普及しているので、ご存じの方も多いかと思います。
バーコードリーダーを使った個人情報取得は、おおよそ次のような流れです。
1)出展社は、あらかじめ主催者にシステムの利用を申し込みます。
展示会前日までに、会場内の事務局でバーコードリーダーを受け取ります。
2)展示会来場者は、入場時もしくは事前登録時に、自分の個人情報を主催者に登録します。
登録内容は、主に次のとおりです。
・氏名
・所属社名や団体名
・住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先
・業種や職種、役職などの属性情報
3)各個人情報にはIDがふられています。
展示会来場者は、受付でIDと紐づけされたバーコードが印字してある入場証(パス)を渡されます。
展示会場内では、入場証を常時携帯・提示すること(パスケースを首から下げることが多い)が求められます。
4)来場者は、出展社の展示ブースで、その後の情報提供を求める際の連絡先として、バーコードを提示しスキャンさせます。
それによって、名刺の提出やアンケート用紙などへの個人情報の記入の代わりにすることができます。
5)会期後、主催者から、出展社にスキャンしたIDに紐づいた個人情報のデータが提供されます。
来場者にとっては名刺を提出することなく、出展社にとっては紙の名刺をデジタルデータ化する手間が省けるので、お互いにとってメリットのあるサービスです。
また、東南アジアの展示会来場者の中には、名刺をお持ちでない方が多く、アンケート用紙などに記入していただかなければならないことがあります。
この場合、記入いただいた文字の判読ができないものが、どうしても出てしまいます。
そうなると、せっかく取得した個人情報が無駄になってしまいます。
できるだけ、手書きは避けたいものです。
関連記事:
東南アジアの展示会で名刺情報を取得するときに気をつけたいこと
バーコードリーダーを使ってみた感想
パワージェン・アジア2019でのシステム利用料は、バーコードリーダー1台を含んで、300ドルでした。
バーコードリーダーを追加したい場合は、2台目以降は1台150ドルです。
バーコードリーダーの利用台数にはとくに制限がなく、希望する台数を借りることができました(もちろん常識の範囲内ということだと思いますが)。
日本の展示会では、データ利用料が個人情報1件につきいくらと、従量制で加算されるケースもあります。
パワージェン・アジア2019では、基本のシステム利用料にデータ利用料も含まれており、追加の請求はありませんでした。
バーコードリーダーは、日本と同様に、開催前日までに展示会場内の事務局に受け取りに行きます。
その際、申込画面をプリントアウトしておいて持参すると、スムーズです。
そして、手渡されたのは写真にあるとおりの、非常に小型のバーコードリーダーでした……
これまで、日本の展示会では見たことがないタイプのもの。
ポケットに入るので持ち運びには便利ですが、無くならないように気を付けなければ……
会期中は問題なく利用でき、読み取りの精度も悪くありません。
バッテリーが切れるようなトラブルもありませんでした。
データは、バーコードリーダーの中に蓄積されるタイプです。
万一、バーコードリーダーを破損したり紛失したりすると、データは無くなってしまいます。
日ごとに、事務局に持って行き、データのバックアップを取ってもらうことができるので、少々手間がかかりますが、やっておいた方が安心できます。
日本の展示会でもありますが、選択式の簡易アンケートと紐づけることも可能です。
あらかじめ、質問と回答項目を設定しておき、それぞれに対応するバーコードを振り分けておきます。
手元に質問票を用意して、来場者に回答を選んでもらい、その回答のバーコードを読み取ります。
そうすることで、来場者IDと回答項目が紐づけられ、誰がどのような回答をしたかというデータを蓄積できます。
しかし、設問が多かったり複雑だったりすると、オペレーション上のミスにつながるので、あくまで簡便な方法として利用するにとどめておいたほうが良いでしょう。
さらに、今回のパワージェン・アジア2019で貸し出されたバーコードリーダーは、先ほどの写真にあるように、とても小さいうえに表示ディスプレイがありません。
現在のステータスが分からないので、IDと回答項目の紐づけに失敗しないよう、注意が必要です。
もし、IDを読み取り損ねているのに気付かなかった場合、個人情報と回答項目がずれてしまうという事故にもつながります。
展示会に出展するにあたっては、どんな目的でどんな情報を取得したいのかを明確にして、オペレーションの計画を立てて臨むことが大切です。
そのうえで、バーコードリーダーを使うのか、名刺と紙のアンケートを併用するのか、タブレットなどのアプリを利用するのか、最適な方法を検討しましょう。
さて、展示会の閉会後、すみやかに主催者事務局へバーコードリーダーを返却します。
パワージェン・アジア2019では、60分以内にと通知されていました。
小さいのでポケットに入れっぱなしでうっかり、というようなことの無いようにしたいものです。
返却しそびれてしまうと、その後の手続きが厄介です。
まして、会期後すぐに帰国という予定になっていたら、ちょっと慌ててしまいますね。
会期後のデータ提供のリードタイムは比較的早く、今回は3営業日でした。
データは、主催者の事務局Webサイトにアップロードされます。
管理画面からログインしてダウンロードします。
データの準備ができると、メールで通知されますので、見落とさないように注意しましょう。
まとめ
・2019年9月現在、マレーシアの展示会で取得した個人情報は、取得の際に利用目的を明確にしておけば、国外に持ち出せる。
・バーコードリーダー提供サービスは、日本のものとほとんど変わりはない。
・データの提供はかなり早い。
・とはいえ、表示ディスプレイがあるタイプのバーコードリーダーへの変更が望まれる。
パワージェン・アジア2020
さて、2020年のパワージェン・アジアは、インドネシアのジャカルタで開催されます。
概要は以下のとおりです。
名称:POWERGEN Asia 2020 – インドネシア・ジャカルタ
会期:2020年9月22日~24日
会場:インドネシア・ジャカルタ
URL:
https://www.powergenasia.com/welcome
ビッグビートでは、2017年から東南アジア地域での展示会出展サポートをしております。
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